FRB高官の言葉を借りるとアメリカ利上げ停止を判断するにはデータが足りていないはずなのですが、エコノミスト達はすでに利上げは終わったと思っているようです。
利上げが本当に終わるなら、米国債にも米国株にも良い影響を与えるはずです。
この記事のポイント
- アメリカの大手銀行のエコノミストは利上げはすでに完了して、2024年は1%ポイントの利下げがあると予想している。
- 市場の予想もエコノミストと一致しているが、この半年で何度も利上げ停止予想を撤回してきたので、まだにわかに信じがたい。
- しかし、利上げ停止になれば株・国債ともに良い兆候。
利上げ停止を予想するエコノミスト
今朝、ブルームバーグに少し興味深い記事が上がっていました。
>>FRBは利上げサイクル完了、24年に利下げへ(ブルームバーグ)
大手銀行14社のチーフエコノミスト達からなる米銀行協会の経済諮問委員会の意見では、すでにアメリカの利上げは完了して来年には1%ポイントの値下げが待っていると言います。
2022年から始まったインフレとの戦いは、ようやく一段落つけるどこまで来たという認識のようです。
たしかに、2022年の急激なインフレ率に比べるとだいぶ落ち着いた印象はあります。
また、この記事を書いている時点で金利先物市場の投資家の予想は次のようになっています。
なるほど、エコノミストも市場の投資家もすでに最後の利上げは終わっていて、2024年は1%ポイントの利下げがあるという点で意見は一致しているようです。
利上げ停止はにわかには信じがたい
しかし、今まで利上げ停止が近いと言われて何度も先延ばしにされただけに、すでに利上げが終わったと言われてもにわかには信じがたいです。
市場の予想ではすでに利上げはないと言っても、たとえば今年の12月の政策金利予想では利上げなしが54%、利上げありが46%とかなり拮抗しています。
こんな状態なので、まだ利上げがあるかもしれないと身構えてしまいます。
利上げ停止の影響
まだ利上げが止まったかどうかはわかりませんが、もしも本当に利上げが止まったのなら、それは投資家にとっては良いニュースです。
過去の利上げ停止時には国債にも株にも良い影響を与えてきたからです。
以下は、世界金融危機前の利上げ停止と株価の関係ですが、利上げ停止後に株価は上昇しています。
また、国債の利回りも利上げ停止後に低下(国債は買われて価格は上昇)していることがわかります。
なので、もしも利上げが停止したという予想が当たっているなら、投資家にとって悪い展開ではないはずです。
さて、明日のアメリカ消費者物価はエネルギー価格上昇を背景にわずかにインフレ率は上昇する見通しです。
そうなると市場が利上げ停止に自信を深めるのはまだしばらく先になるかもしれません。ひとまず明日の消費者物価で様子を見たいと思います。