先日、ケースシラーという有名な住宅価格指数の6月版が発表になりました。
(ケースシラー住宅価格指数は発表が遅いので、今の段階で7月ではなく6月分のデータが公表されています)
残念ながら2023年の住宅価格の上昇は続いています。唯一の救いは、価格の上昇ペースが久々に少しだけ鈍化したことかもしれません。
2023年は住宅の需要が弱いはずなのですが、在庫がかなり少ないために(供給不足のために)価格が上がりやすい状況が続いているようです。
この記事のポイント
- 6月のケースシラー住宅価格指数は上昇が続いている。2022年につけた最高値をまもなく更新する恐れもある。
- 前月比の価格の伸びはわずかに低下した。それでもコロナ前よりもずっと高い伸びが続いている。
- 住宅への需要は強くないが、在庫不足により2023年のアメリカは住宅価格が伸びている。
上昇が続くアメリカの住宅価格
2023年からアメリカの住宅価格が上昇しているのは、今までのブログに書いたとおりです。
この状況は残念ながらまだ続いています。今週発表されたケースシラー20都市住宅価格指数を見ても、2023年から上昇に転じた価格は再び最高値を目指していることがわかります。
住宅価格上昇の要因
「FRBが金融引き締めを続けているのに、なぜ住宅価格は上昇しているのか」と思われるかもしれません。
ブルームバーグによれば、価格上昇の背景には強い需要と在庫不足があると言います。
>>全米の住宅価格指数、5カ月連続で上昇-強い需要と在庫逼迫で(ブルームバーグ)
強い需要については間違いだと思いますが、在庫不足は価格上昇の背景としてはその通りだと思います。
次のグラフはアメリカの個人が家を買う余力を示した指数ですが2023年も低下が続いています。
このような状況で需要が強いというのは無理があります。住宅ローン金利と住宅価格の上昇で、多くの人にとっては家は高すぎて買えないようです。
一方で、住宅在庫は低迷しているようなので、価格の上昇の原因はやはり需要ではなく供給(在庫)側にあるようです。
先行きの不透明な住宅価格
2023年の住宅価格の上昇が在庫不足によるものだということはわかったのですが、最近の住宅価格の上昇がどこまで続くのかはまだまだ先行きが不透明です。
一応、住宅価格の上昇ペースは6月にわずかに落ち着いたのですが、まだまだコロナ前に比べると高い伸びが続いています。
シンプルに考えれば、需要が弱いならいずれ住宅価格の伸びがどこかで止まるとは思います。
ただ、ケースシラー以外の住宅価格指数ではまだ伸びが続いているものもあります。下の図では、Zillow住宅価格指数(青線)の伸びをグラフ化しましたが、まだ住宅価格の上昇ペースに鈍化の兆しは見えていません。
本当に住宅価格が軟化しているなら、どのデータを見ても数字が弱まっているはずです。なので、ケースシラーの住宅価格の伸びがわずかでも鈍化をしたのは良いことですが、まだまだ予断は許さない展開が続いていると思います。
今後は住宅価格の伸びが鈍化してくれることを期待していますが、もしも高い伸びが続くなら、金利のさらなる引き上げと株価下落が起こりうることは頭の片隅においておきたいと思います。