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リセッション前で割安でもない米国株は買いづらい

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前回の記事で、アメリカの景気後退はまだ来ないという話をしました。

>>米リセッションはいずれくるが、まだまだ先

そういう話なら、今は株に投資すればいいのかというとそんな単純な話でもない気がします。2023年前半の株高の波に乗り遅れた私が言っても説得力がないのですが、現在は米国株を買うのにそれほど良いタイミングにも思えません。

今はまだアメリカの景気は持ちこたえているとは言え、いつかリセッションはやってくるはずで、その上いまの米国株は割安とは思えないからです。

この記事のポイント

  • アメリカは雇用が強いのでまだリセッションは来ないが、それでも多くの経済指標がリセッションのシグナルを出している。
  • また、国債に比べて株のリターンは低く(超過CAPE利回りは低く)、米国債に比べて株は割高な状態にある。

景気後退はまだ来ないがいずれ来る

2023年は米国株を買いたいとは私は思わないのですが、その主な理由はこれからリセッションがやってくるからです。

昨日のブログにも少しだけ書いたのですが、やはりアメリカはまだ2023年末から2024年にかけてリセッションがやってくる可能性が十分に残されていると思います。

ここでは、今後のアメリカの景気の低迷を示唆しているデータをいくつか紹介します。

  • 逆イールド発生
  • 景気先行指数の低迷
  • 鉱工業生産指数の前年割れ
  • 小売売上高の低迷

過去にアメリカがリセッションになる場合には、長期国債の利回りが短期国債よりも低くなる逆イールド現象と呼ばれる現象が起こっていました。

この逆イールド現象はまだ現在も発生していますが、今後アメリカの景気の悪化がはじまり利下げが起こって逆イールド現象が解消されればリセッションが始まると見られます。

次のアメリカのリセッションの突入時期はまだわかりませんが、クリーブランド連銀やニューヨーク連銀の逆イールド現象を使った分析では、2023年後半から2024年にかけてリセッション確率が急激に跳ね上がると予想しているので、まだアメリカ経済に脅威は去っていないと私は考えています。

最近では、「逆イールド現象はリセッションを予想しているのではない」という論調も増えているので、それ以外にもアメリカのリセッションを示唆する兆候があることを付け足しておきたいと思います。

逆イールド現象以外に株価、企業の新規受注、週労働時間など様々な景気の先行きを占うデータを集めて集計した景気先行指数は過去のリセッション時にしか見られないような低迷が既に見られます(下図の青線は低迷中)。

また、先月中旬に発表された鉱工業生産指数は前年比でマイナス成長に転じましたが、過去のリセッション時には鉱工業生産指数がマイナスになる現象が見られています。

そして、最近では小売店の売上も伸びが大きく鈍化しているようです。インフレの影響をのぞいた実質の前年比売上はマイナスに転じており、これもリセッションの時期によく見られる現象です。

まだまだ証拠はあるのですが、とにかくアメリカは雇用が強くてまだ景気後退に陥っていないだけで、その他の分野で悪いデータはわりと簡単に見つかります。

米国株は割高か否か

ここまで、アメリカの景気はやはり2023年末から2024年にかけてリセッションが来そうなので、その前に株を買うのはリスクが高いという話をしました。

最後にもう一つ、今から米国株を買ってもあまり割安ではないと言う話をしたいと思います。

ただ、株が割安かどうかを調べる方法にPERを見るというものがありますが、これだとそれほど割高には見えません。12ヶ月後の予想PERは19.2と5年平均をやや上回る程度で、やや割高かなと感じる程度です。

しかし、見方を変えて長期国債に比べるとS&P500は随分と買われているようです。

次のグラフは、長期国債に比べてどれだけ米国株S&P500が割安かを数値化したグラフ(超過CAPE利回りのグラフ)ですが、過去10年の中で割安度は2018年に次ぐ低さになっています。

グラフは下にいくほど、米国債に比べて米国株が割高であることを示します。これを見ると、コロナ後の最高値を記録した2021年12月よりも割高な状態になっていることがわかります。

というわけで、米国株はいつ来るかわからないリセッションを控えている上に、それほど割安でもないので、米国株はなかなか買いづらいと感じています。


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