今週は10日(木)にアメリカの消費者物価の発表があります。
7月の消費者物価は前年比で上昇することが予想されますが、それは前年のデータが低インフレだったので仕方ありません。
それよりも今後の動きを占うためには、住居費を除くインフレ率がどういう上昇率に落ち着いていくかが注目ポイントになると思います。
この記事のポイント
- 7月の消費者物価は最近の原油価格上昇や前年7月インフレだったことから前月比でも前年比でも上昇する見通し。
- ただ、今後は住居費の低下が予想されている。インフレ率は住居費を除いたインフレ率に近づいていくと思われる。
- 6月までに住居費を除いた消費者物価は、すでに前年比0.7%まで低下している。この数字がどのあたりに収まるかが今後の焦点。
7月のアメリカ消費者物価は上昇へ
7月のアメリカ消費者物価は上昇すると見られています。理由は2つです。
- 最近はエネルギー価格の上昇しているため。
- 前年7月や8月は低インフレが続いたため、前年比の伸びは低下しにくい。
まず、原油価格は6月末から上昇が続いているので、特に7月の消費者物価は上昇圧力がかかっています。
また、1年前の2022年7月は物価の伸びが前月比でマイナス圏に突入するほど小さいものでした。
これから発表される23年7月の消費者物価がこれを下回る伸びを記録するのはさすがに難しいため、前年比の伸びは上昇すると思われます。
クリーブランド連銀の消費者物価予想モデル(CPI Nowcast)を見てみても7月と8月はインフレ率の上昇が見込まれています。
消費物価 | 前年比 | 前月比 |
---|---|---|
6月(発表済み) | 3.0% | 0.2% |
7月(予想) | 3.4% | 0.4% |
8月(予想) | 3.9% | 0.6% |
というわけで、1年ほど続いてきたアメリカのインフレ鈍化はこの数ヶ月は小休止すると見られます。
アメリカのインフレはどこに向かうのか
じゃあ、アメリカのインフレはこれで下げ止まるのかというと、そうでもないと思います。
今年の消費者物価指数を大きく押し上げてきた住居費がこれから下がると予想されるからです。
サンフランシスコ連銀の予想では、消費者物価の住居費(前年比)はこれから2024年にかけて大きく低下すると見られています。
この影響はかなり大きいです。というのも、2023年6月時点でアメリカの消費者物価は前年比3.0%ですが、住居費を除いた消費者物価を見てみると既に前年比は0.7%まで下がっています。
つまり、2023年の消費者物価は住居費がかなり押し上げていたわけですが、これから2024年に向かうに連れて住居費の伸びがなくなれば、月日が経つごとに消費者物価は「住居費を除いた消費者物価」に近づくはずです。
というわけで、7月の消費者物価は前年比で上昇することが予想されますが、今後2024年にむかって消費者物価はどういう値に落ち着くのかを知るためには、住居費を除いた消費者物価がどうなるかが今後の注目になると思います。