タイトルに書いたISM製造業指数の話に行く前に、少しだけ昨日の市場について書いておきます。
フィッチのアメリカ格下げはそこそこ市場に影響があったようで、直後の昨日は久々にナスダックが2%を超える下落に見舞われました。
それでも2011年のS&Pの格下げ時よりは、株価の変動は小さかったようです。まだ市場はこの影響を消化するには時間がかかるかもしれないので、今後しばらくは株価の上昇も下落も変動が大きくなる恐れがありますが、引き続き影響の規模を様子見する展開が続きそうです。
また、少し疑問なのはこの下落は格下げを理由としたものではないかもしれません。どうも「長期国債増発→金利上昇→株価下落」が起こっているようにも見えるので、原因が国債増発なのか格下げなのかを見ていきたいと思います。
さて、状況を見守っている間に、すでに発表されている経済指標でも確認して置きたいと思います。というわけで、このブログでは7月のISM製造業指数について書いていきたいと思います。
この記事のポイント
- ISM製造業指数は予想を下回って低迷が続いている。そんな中でも良い知らせは、新規受注が小幅に回復していること。
- ISM製造業指数の長い低迷は、S&P500の一株利益の低迷にリンクしている。アナリストは今後の一株利益の成長を予想してるが、ISMがその通りになるかが今後の注目。
低迷が続くISM製造業指数
7月のISM製造業指数の発表がありました。
- 予想:46.8
- 結果:46.4
この数字の見方は、50を超えていればアメリカ製造業は景気拡大を示し、反対に50を下回ると景気悪化していることを意味します。
上の結果でも書いたように、7月のISM製造業指数は残念ながら50を下回って景気が悪化したことがわかります。そもそも、この50を下回る結果は何ヶ月も続いており、2023年になってから一度も50を超えたことはありません。
というわけで、残念ながらアメリカ製造業の景気は良くないようです。
そんな中でも良い知らせは、新規受注指数がわずかに上昇したことです。
この新規受注が下げ止まって50付近に戻るなら、ずっと弱含んでいた製造業の景気は持ちこたえるかもしれません。
もちろん、製造業の景気は2023年からずっと悪いなかで、兆しは何か見えないか探すと、新規受注が小幅に改善されているという状況でした。
S&P500の一株利益について
さて、株の投資への影響についてですが、このISM製造業指数は企業の一株利益と非常に似た動きをすることで知られています。
今回のISM製造業指数は50を下回って不調が続いているので、S&P500の一株利益も当面は低空飛行が続くと思われます。
期待を抱かせてくれる材料があるとするなら、先ほども話をした新規受注の伸びの回復です。もしも今後数ヶ月継続して新規受注が回復する動きがあるなら、S&P500の一株利益も今度はやや上向くかもしれません。
一方で、今後の新規受注とISM製造業指数の回復がかなり弱いものにとどまるなら、これからS&P500の一株利益の成長加速を予想しているアナリストの予想(下図)は下方に修正されないといけない展開になりそうです。
一株利益のアナリスト予想はこれから成長が加速していく姿を描いているので、ISMもその通りになるのかが注目点になりそうです。