市場の投資家やエコノミストはとても強気になっているようです。
アメリカはリセッション(景気後退)になっても、とても軽いもの(ソフトランディング)で済むという考えが広まっているようです。
次のリセッションがどれくらいの規模になるかは、実際にリセッションに突入したら分かることです。
そして製造業や鉱業の動きだけを見ているなら、そろそろリセッションが来てもおかしくない時期に入りそうです。今回はアメリカの鉱工業生産指数もリセッションのシグナルを出し始めたという話をしたいと思います。
この記事のポイント
- 鉱工業生産指数は前年比でマイナスに転じた。(誤検知もあるが)過去のリセッションでは、同じ現象が起こっている。
- 雇用がまだ強いのでアメリカが直ぐにリセッションになるとは思わないが、リセッションが近づいている証拠の1つではあると思う。
鉱工業生産指数にリセッションシグナル
このブログではあまり取り上げてきませんでしたが、鉱工業の生産の動きを数値化した「鉱工業生産指数」を見ていきたいと思います。
この数字は毎月中旬に前月分のデータが発表されるのですが、今週7月18日に発表されたデータは悪かったです。
- 予想:前月比+0.1%
- 結果:前月比:-0.5%
- 前回:前月比-0.2%から-0.5%へ下方修正
6月分のデータは予想に届かず前月比マイナス、そして前回5月分のデータも下方修正されました。この2ヶ月分のデータが悪かったことで、前年比で見たいときに鉱工業生産指数がマイナス成長になるという普段ならあまり見られない現象がみられています。
鉱工業生産指数がマイナスになる動きは、アメリカにリセッションが近いときや既にリセッションになっているときによく見られます。
下の図で灰色の時期がリセッションですが、その時には鉱工業生産指数の前年比はいずれもマイナスを記録していました。
鉱工業生産指数でリセッション時期を全て予想できるわけではありませんが(鉱工業生産指数がマイナスなのにリセッションにならないこともあります)、リセッションのシグナルは点灯したと言えそうです。
今の景気サイクルではまだアメリカの雇用が強いので、恐らくすぐにリセッションにはならないと思いますが、サービス業よりも低迷が早かった鉱工業では既に暗雲が立ち込めていると言えそうです。
確率はそれほど高くないかもしれませんが、私は未だに2023年のアメリカのリセッション入りはあると思っています。
それが実際に景気の谷の浅いリセッションになるのか、それとも深いリセッションになるかは始まってみないとわかりませんが、2022年からの強い金融引き締めの影響で深いリセッションになって一時的にデフレな状況が生まれても全然おかしくないと私は思っています。