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雇用が強い時期に売り、弱くなったら買う

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「雇用が強いときには売り、雇用が弱くなったら買え」というシンプルな株式投資の方法があります。

投資を始めた初期の頃にどこかで読んで、ずっと頭に残り続けている言葉でもあります。

このせいで2023年のような景気拡大期後半の株価上昇に乗れずじまいになることも多いのですが、この言葉に一定の真実があるなら、やはり今の時期は米国株に慎重にならざるを得ません。

この記事のポイント

  • 「雇用が強いときには売り、雇用が弱くなったら買え」という話は正しいか調べてみた。
  • 雇用よりも株価が先に回復してしまうこともあるが、雇用が悪化している期間のどこかで15%以上の株価下落して買い場が訪れることは確かだった。
  • 今のアメリカでは2022年10月から雇用が弱まり始めている。今後どこかで15%以上の下落がある場合に備えて、投資をする。

検証

冒頭でもふれた「雇用が強いときには売り、雇用が弱くなったら買え」という話ですが、どれくらい当てはまっているものなのでしょうか。

少しばかり米国株のデータを逆上って、検証してみたいと思います。

「雇用が強い時」や「雇用が弱い時」と言っても漠然としているので、ここでは新規失業保険申請件数(4週間平均)が景気サイクル中の最低値を記録したときから、最高値を記録したときまでの米国株のリターンを調べてみることにしました。

いつから いつまで 米国株リターン
2019年8月 2020年4月 -2.8%
2007年5月 2009年4月 -37.8%
2000年4月 2001年10月 -30.0%
1989年2月 1991年3月 +30.3%
1981年4月 1982年10月 +6.2%

これを見る限り、2000年以降の3つの時期では、新規失業保険申請件数が伸びている間に大きな株価の低迷が起こっていることがわかります。

少し気になるのは1980年代の2つの時期では、意外にも失業者が増えているのに株価が上がっているという結果になっています。これはどうしたことでしょうか。

「雇用が強いときには売り、雇用が弱くなったら買え」というのは1980年代には当てはまらなかったのでしょうか。

失業保険申請が増えている間の下落について

このからくりは株価の動きを見てみると、すぐにわかります。

下のグラフは新規失業保険申請件数が増加していた期間のはじめと終わりで、米国株のリターンが30%を超えた1989年から1991年の間のS&P500の値動きです。

失業保険の新規申請が増えていた時期の中でも、株価が急落している時期があることがわかります。

このように一時的にでも最大で何%下落していたかを調べ直すと、次のように新規失業保険申請件数が増加している全ての時期でマイナス15%ほど株が下がる局面が訪れていることがわかります。

いつから いつまで 期間中の最大下落率
2019年8月 2020年4月 -20.9%
2007年5月 2009年4月 -50.9%
2000年4月 2001年10月 -32.1%
1989年2月 1991年3月 -16.2%
1981年4月 1982年10月 -16.6%

つまり、「雇用が強いときには売り、雇用が弱くなったら買え」とは、より正確に言えば「雇用が強いときには売り、雇用が弱くなる時期に訪れる株価下落で買え」という事になりそうです。

さて、ここまでわかったところで、今のアメリカに目を移してみましょう。

今回のアメリカは2022年10月に新規失業保険申請件数が増加トレンドに転じた(雇用の弱まり始めた)と思っています。

2023年のS&P500は上昇していますが、このまま新規失業保険申請件数が増加していけば、どこかで15%以上の株価下落の歴史が繰り返される可能性はかなり高いと思っています。

ただし、その下落がはじまる時期まではわかりません。半年先かもしれませんし、ひょっとする1年先になるかもしれません。

私は短期的な株価の動きを読むのには長けてないので、いつ来るかわからない下落に備えて待機するだけです。

短期売買を中心にしている投資家にとっては、ここに書いた情報は何も参考にならないはずですが、1年に数回(多い年でも1ヶ月に1回程度)の売買しかしない私にとっては、今後1年以内に株の買い時が来るかもしれないという情報だけつかめれば十分だと思っています。


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