米国株を動かしてきた要因に変化が見られているかもしれません。
今までFRBが供給するドルの量が米国株の値動きに影響を与えていたのですが、最近数ヶ月で両者の動きに連動が見られなくなっています。
この記事のポイント
- この数年間、FRBが提供する流動性と米国株は連動していた。しかし、最近ではこの2つの動きは連動しなくなった。
- では、何が株価を動かしているのか。理由はまだわかっていないが、少なくとも一株利益予想はほとんど改善せずに株価の上昇している。
- 普通に考えると、利益予想を伴わない株価の上昇は底堅い動きにはならない。
2020年のパンデミック発生からの傾向が変化
以前、このブログでは2020年以降の米国株はFRBが印刷するドルの量(流動性)が増えれば株価が上がり、反対に流動性が減れば株価が下落しているという話をしました。
実際に、2020年から2022年末までの米国株と流動性(FRB資産額からリバースレポと政府口座残高を引いた値)の動きはかなり似通っています。
しかし、最近ではこの動きに変化が見られます。
下の図は、2022年末までのデータで作成した上のグラフに、2023年6月下旬までのデータを付け加えて作ったものですが、最近は米国株の株価と流動性の連動が失われているように見えます。
最近の数ヶ月で米国株を動かす要因が、FRBが提供する流動性から別のものに移ったのかもしれません。
企業利益は減少
それでは、最近数ヶ月の米国株は一体何に連動して株価が上昇しているのでしょうか。
もしも、企業利益の見通しが改善されて米国株が上昇を始めているなら底堅い動きになるはずですが、そうではないようです。
次のグラフは、アナリストによる2023年と2024年のS&P500の一株利益予想の変化を表したものですが、利益見通しは底を打ったもののほとんど改善されていません。
企業利益が改善されていないのに株価が上がっているので、最近はPER(割高感)が上昇しています。
特に2023年に入ってからの株価の上昇は、一部の大型ハイテク株がAIなどへの期待先行して株価が上がっているとよく耳にします。
(少なくとも私には)かっこたる理由で株価が上昇しているようには見えないので、今のタイミングでの米国株への投資には積極的になれないです。