毎週木曜日に発表されるアメリカの新規失業保険申請件数というデータがあります。
景気後退との距離をいち早く測るのに一番有効だと思っているのですが、最近かすかに失業保険を申請する失業者が増えている印象があります。
まだまだ景気後退には遠いですが、じわりと景気の悪化に近づいているようです。
この記事のポイント
- 新規失業保険申請件数は予想を上回る26.2万人だった。2021年以来の2年ぶりの水準にまで上がっている。
- 過去にリセッションに入った時には新規失業保険申請件数は35万人まで増えていることが多いので、まだリセッションには遠いが、ゆっくりと近づいている。
- 回帰分析をすると新規失業保険申請件数が35万人を超えるのは(リセッション突入推定時期は)2024年第1四半期頃となっている。
じわりと上昇している失業保険の申請件数
6月10日までの1週間の新規失業保険申請件数が発表さましたが、今週も予想をやや上回る失業保険の新規申請があったようです。
- 予想:25.5万件
- 結果:26.2万件(前回は26.2万件)
26.2万件という数字は、コロナからの雇用回復の時期に記録した2021年以来、2年ぶりの水準になります。
最近では、2022年9月に新規失業保険申請件数の底を打ってじわじわと上昇しているのですが、その傾向がやはり続いていることが確認できます。
アメリカのリセッションは2024年第1四半期か
しかし、じわじわと失業者が増えていると言っても、それでもまだアメリカはリセッションが近いとは言えないようです。
過去数回のリセッションではだいたい新規失業保険申請件数が35万件を超えたあたりで、リセッションに突入していました。
リセッション突入時期 | 新規失業保険申請件数 |
---|---|
1990年7月(湾岸戦争) | 36万人 |
2000年3月(ITバブル崩壊) | 37万人 |
2007年12月(世界金融危機) | 34万人 |
現在 | 26.2万人 |
しかし、今はまだ26.2万件でだいぶ低い値にとどまっています。
新規失業保険申請件数が底を打ってトレンドが変わった22年9月から最新のデータまでで、手っ取り早く回帰分析してみると、35万件を超えるのは2024年第1四半期と出てきます。
よって、まだしばらく景気後退にはならないと思います。
おまけ
今さらの話なのですが、去年からもっと新規失業保険申請件数に目を向けていれば、2023年の前半の株高に乗れたのでしょうか。
2022年10月にS&P500は底を打ってから、大きく上昇しています。
私は2023年の年始からアメリカの景気後退の心配ばかりしていましたが、新規失業保険申請件数を見ると2023年6月時点ですらアメリカの景気後退はまだ先です。
となると、アメリカの景気後退までに一時的な株高に乗ることはできなかったでしょうか。
2022年末にハイテク株を買い進めている著名投資家は何人かいましたが、彼らがどういう根拠で株を買っていたのか、また自分はどういう根拠で株を買わなかったかを反省したほうが良い気がしました。