昨日の記事では、アメリカの住宅価格は下げ止まってしまったかもしれないという話をしました。
インフレと戦いでは住宅価格が下がって家賃などの住居費も下がる必要があるので、今下げ止まるのはあまり良くないニュースだと思っています。
そんな中、昨晩はアメリカの住宅価格の動きを表すケースシラー住宅価格指数が昨晩発表されたので、結果を見ていきたいと思います。
- ケースシラー住宅価格指数は3月に前月比(年率)+5.6%の高い伸びを見せた。やはり住宅価格は下げ止まっているように見える。
- 2023年はインフレ低下が進むと思うが、住宅価格が回復するなら2024年頃からインフレ再燃するか、それを防ぐための追加利上げが起こるかもしれない。
やはり下げ止まっているように見えるアメリカの住宅価格
ケースシラー住宅価格指数は発表が遅いのでようやく3月のデータが公開されました。
アメリカのインフレ鈍化のために住宅価格が上がってほしくないと私は思っているのですが、結果は望み通りにはなっていないようです。
まず、よく話題にあがる前年比の伸びを見てみると、予想ほど落ちていないことがわかります。
- 予想:前年比マイナス1.60%
- 結果:前年比マイナス1.15%(前回:同+0.36%)
「いやいや、それでも前年比で住宅価格はマイナスじゃないか」という見方もできるとは思います。たしかに、前年比のグラフを見ていると一見着実に住宅価格は下がっているように見えます。
しかし、前月比で見ると見える景色は変わります。住宅価格の冷え込みは2022年9月が底で、2023年2月以降は再び価格の上昇が始まっています。
昨晩発表された2022年3月の前月比の伸びは年率+5.6%であり、このペースが1年間続くと住宅価格は5.6%上昇することを意味します。
つまり、3月のアメリカの住宅価格は前年比ではマイナスですが、これは2022年後半の冷え込みによるもので、このまま行けば再び住宅価格は上昇基調に転じる恐れもあるというのが今の現状のようです。
先日の記事でも書いたように、やはりアメリカの住宅価格は下げ止まったのかもしれません。
ケースシラー住宅価格指数を発表しているS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスも似たようなコメントをしています。
直近2ヶ月の上昇が住宅価格の回復を決定づけたわけではない。しかし、3月の結果は2022年6月から始まった今回の住宅価格の低下が終わったかもしれないことを示している。
ただ、まだ決着はついていません。今のアメリカでは住宅ローン金利は高く景気後退のリスクもあるので、住宅価格が下る要因はまだ根強く残っているからです。
とはいえ、現在の住宅ローン金利がもたらす影響と景気低迷が続く可能性は、少なくとも今後数カ月は住宅価格にとって逆風となりうる。
さいごに
先日の記事でも書いたように、やはりアメリカの住宅価格は2023年になってから下げ止まっている印象があります。
でも、だからと言って2023年のアメリカのインフレは高止まりするいう結論にはならないと思います。
消費者物価のうちの一つの項目の住居費はケースシラーからちょうど1年遅れて低下が始まったばかりで、これから少なくとも半年は住居費がアメリカの消費者物価を押し下げるからです。
懸念材料は「2024年以降のインフレの再燃」か「インフレ再燃を警戒したFRBが追加利上げに動く」のどちらかになると思います。
どちらも株にとってはあまり良い動きではありません。
もしもインフレ再燃の恐れが高まるなら、次の景気後退突入後に石油株・素材株・コモディティなどインフレに強い資産を多めに買っておく必要がありそうです。