4月のアメリカですが、インフレは順調に鈍化に向かっていたようです。
消費者物価指数は予想よりも低かったこと、そして何より住居費(Shelter)の項目がピークをつけたことが確かめられました。
今回の結果は来月の利上げ停止には十分だと思います。投資家にとっても安心材料です。
どうもアメリカでは債務上限で揉めているためか米国債は売られる動きがありますが、債務上限は一時的なイベントなので国債を買ったままリセッションに備える構えのままで大丈夫だと思っています。
この記事のポイント
- 4月の消費者物価指数はほとんど予想通りで、わずかにインフレのペースが鈍化したことが確認できた。
- 内訳で特筆すべきは、住居費の伸びが大きく鈍化したこと。2022年半ばから始まった住宅費の鈍化がようやく消費者物価にも反映され始めた。
- 今後は、住居費の伸びは小さくなるので、アメリカの消費者物価の伸びも低い水準にとどまる。
ほぼ予想通りの消費者物価
4月の消費者物価ですが、ほとんどエコノミストの予想通りの結果になりました。
- 前月比:0.4%(予想+0.4%)
- 前年比:4.9%(予想+5.0%)
よく話題になるのは消費者物価の前年からの伸びですが、2022年6月には前年比+9%を記録していたものが+4.9%にまで伸びが鈍化しました。
待望の住居費の伸び鈍化
今回の結果は、内訳を見てもかなり良かったと思います。
消費者物価の計算で一番比重が大きいのは住居費の項目なのですが、この住居費がピークをつけて落ちていることが確認できました。
この住居費は最近の消費者物価の最大の押し上げ要因でした。その勢いが落ちてくれば、アメリカの消費者物価指数は大きく鈍化していくことが予想されます。
これはこのブログが2022年末からずっと言ってきた展開です。去年の12月の時点から次のように書いていきました。
2022年の消費者物価を押し上げている「住居費」は来年(2023年)後半から下がる。
>>2023年後半にアメリカの消費者物価は大きく低下する(22年12月13日の記事より)
住居費に先行するアメリカの住宅価格の伸びは2022年6月から急激に鈍化しているので、住居費の伸びも急な鈍化がしばらく見られると思います。
というわけで、2023年のうちはアメリカのインフレは恐らく問題ないだろうと思います。
まとめ
今回のアメリカの消費者物価はかなり投資家にとってはポジティブな内容でした。これなら次回6月のFOMC(金融政策を決める会議)で利上げは問題なく停止されるはずです。
まだまだインフレ目標の2%にまでは遠いですが、しばらくはこのままの状態でインフレがどこまで下がるかを見届ける期間に入ります。
インフレとの戦いの利上げで、2022年から国債も株もあらゆる資産が大きく売られた時期が続きましたが、ようやく利上げ期の終わりを感じる消費者物価の数字となりました。