少し前のことになってしまいますが、Visaの決算を見つつ、クレジットカードの利用状況を見ていきたいと思います。
アメリカのクレジットカードの伸びは少し鈍化している様子が見られます。
これは4月に入ってからもみられる傾向で、やはり少しずつアメリカの個人消費は弱っているのではないかと考えてしまいます。
この記事のポイント
- Visaの1-3月期の決算は売上も一株利益も事前のアナリスト予想を超えた。
- しかし、成長率は鈍化している。2023年になってからもクレジットカードの利用金額や回数を見ても鈍化傾向が見られる。
- 恐らくVisaの利用客だけが消費がのびなくなっているわけではなさそう。全米でも同じようなデータが見られる。
予想を超えたがそれほど強さを感じないビザの決算
まず、さらっとですがビザの1-3月期の決算の結果を確認します。
- 一株利益:$2.09(予想$1.99)
- 売上:$8.0B(予想$7.8B)
一株利益も売上もアナリストの予想を超えたので、まずまずの結果だったと思います。
ただ、売上は前年比で+11%で、やや物足りない印象はあります。以下のグラフを見ると分かるのですが、2022年の頃の成長率の勢いは既に失われたと見て良さそうです。
アメリカの消費は鈍化傾向なのか
上の売上グラフをみるとわかるのですが、2023年になってから成長率が鈍化しているのは少し気になるところです。
Visaからもう少しだけ詳しいデータが提供されていますので、決算資料で提示されていたグラフも見ていきましょう。
恐らく一番はっきりと傾向が分かるのがアメリカでの毎月の決済金額のグラフです(下図)。これを見ると、1-3月期の決算でそこそこの結果を出せていたのは1月2月に貯金を作ったからで、3月にはビザの決済金額は一桁%の伸びしか記録していなかったことがわかります。
そして、4月にも同じような低下傾向が続いているのは気がかりです。
また、利用金額だけでなくVisaのシステムが決済を処理した回数も同じような成長の鈍化傾向が見られます。
こうした動きはビザだけではなく、アメリカ全体にも広がっているように見えます。
アメリカの商業銀行がクレジットカードやリボ払いを通じて、消費者に貸し出しを行った金額は2023年になってからやはり成長が鈍化しています。
上のグラフでは4月中旬からリバウンドしているのが幸いですが、2023年は消費は鈍化傾向にあるのだろうという気がします。このデータは毎週確認できるので、定期的に覗いて様子を見てみようと思います。
4月の小売売上や個人消費はまだこれから発表されますが、それほど良い数字にはならない恐れがあると頭の片隅に置いておきたいと思います。