3月のアメリカ雇用統計が発表されましたが、全体的には良かったです。
最近はさえない経済指標が続いていたのですが、雇用はまだ崩れていないという結果になりました。
いくつかの業界では雇用者を減らている様子が見られるのが気になりますが、全体的には雇用はまだ強いと市場は捉えたようです。5月の政策金利予想は0.25%の引き上げ予想が市場で強まっています。
恐らく5月が最後の利上げになると言われています。
まだFOMC前には消費者物価の発表もあるので、利上げ予想はまだ変化が見られるかも知れませんが、利上げの最終局面は近づいています。
この記事のポイント
- 3月の雇用統計はおおむね予想通りの結果だった。
- 非農業部門の雇用者の増加数はゆるやかな減少傾向で、失業率は相変わらず低いままだが、賃金上昇は控え目だった。景気後退もインフレ再燃も見られない雇用統計だった。
- 次回5月FOMCには恐らく最後の利上げが予定されている。
3月の雇用統計の結果
3月のアメリカの雇用統計の結果を確認してきます。
- 非農業部門雇用者数:+23.6万人(予想+23.9万人)
- 失業率:3.5%(予想3.6%)
- 平均時給(前月比):+0.3%(予想+0.4%)
NFPほぼ予想通りの内容でした。前年から雇用者の伸びは緩やかになっていますが、それでも20万人超えの増加数が見られます。この数字は雇用がまだ順調に強いと言える水準だと思います。
失業率を見ても、前月より0.1ポイント下がって3.5%とかなりの低水準に落ち着いている様子が伺えます。
この数字からはアメリカに景気後退が近づいている印象はありませんでした。
また、これだけ雇用が強い状態なのですが、インフレの心配はそれほどいらないと思います。
平均時給の伸びは前月比+0.3%に収まっているからです。これはコロナ前の2019年でよく見られた水準です。これなら時給の上昇がインフレを長続きさせる心配はいらないと思われます。
現在の物価の伸びに対して時給が追いついていないので、このペースを保っていれば(消費のゆるやかな低下を伴いながら)物価はまだ下がっていくと思われます。
まとめると、雇用はまだ強く景気後退が近い印象はない一方で、インフレ再燃の兆候もないという、アメリカ経済にとってはちょうど良い結果になったと思われます。
5月が最後の利上げか
他の経済指標が悪い数字を出している中で、今回の雇用統計はあまり目立った悪い材料は見られなかったです。
(細かいところを見ると、製造業・建築業・金融業界では前月よりも雇用者を減らすなどのほころびも見られ、これらの傷口が広がらないかは今後観察する必要はありそうですが)
全体的には景気悪化を感じるような弱さはまだなく、これならFRBは次回5月のFOMCで利上げは十分ありえるという考えが広まったようです。
恐らく、次の5月FOMCが最後の利上げになるはず。
このブログでは何度か「XX月が最後の利上げ」という言葉を使う度に、その時期が変更されてきましたが、そろそろ本当にこれで利上げ停止の時期となってほしいものです。