株売却の迷い
私、正直言って、いま迷っています。この記事を書くのにも、普段の3-5倍の時間がかかりながら、書いています。
以前からFRBが政策金利を引き下げたら株の売却を進めると言ってきましたが、「このアメリカ市場が歴代最高値を更新している中、自分は本当に株を売って良いのだろうか」と、ついつい考えてしまいます。
7月末の利上げを示唆したFRB議長に湧く市場
昨晩、アメリカの中央銀行FRBのパウエル議長は世界経済の減速によるアメリカへの影響に対処するために、「必要に応じて行動する」と改めて発言しました。この発言を聞いた世界中の投資家は、7月末に開催される会合FOMCで、パウエル議長は景気刺激のための利下げをすると解釈したようで、市場全体に利下げ機運が高まっています。
今夜、FRBパウエル議長が登壇。7月の利下げに注目が集まる。
金利を引き下げて景気が下支えされれば、株価は上がりやすくなります。FRB議長の発言を受けて、7月10日のNY市場はナスダックで歴代最高値を更新して終えるなど、株価だけ見れば誰が見ても絶好調な状態です。
ただ、問題は「景気後退前の利下げ」だということです。これが冒頭でもお伝えした、悩みの原因です。
景気後退局面前の株価最高値
既に景気がどん底の状態での景気刺激策の利下げなら、景気はこれから上がるだけなので私も喜んでアクセルを踏んで株を買いに行きます。でも、今はこれから世界的の景気が悪化する傾向が見られる中での対応策としての利下げです。
中央銀行は、このまま何も対策を打たなかったら、景気後退に陥る可能性があると認めているからこそ利下げをしているわけです。今後1-2年に不景気の影が見え隠れしている今の状況で、株を買うのはかなりのリスクです。
しかし、1-2年よりもずっと短い期間で見れば、FRBの利下げは株価にはプラスに働くので、しばらくは株は上がります。7月はこれで何度目の最高値かというほど、絶好調です。
だから、迷うのです。次来る不景気のことを考えたら、歴代最高値を株価が今が売り時なのかも知れません。しかし、まだまだ株価が最高値を更新するかも知れないので、今株を売り急いでしまったら、株価がその後も高値を更新し続ける中、売らなければ儲けていたはずの利益が手にできなくなります。
前回のリーマンショックの記憶から早く売却してリスクを回避したいと思う気持ちと、もっと利益が欲しいと思う欲がせめぎ合うせいで、判断が鈍ります。本当に、いやな局面です。
事前に決めていたルールに従う
ただ、さすがに私にとってもこれが人生初めての景気後退期ではないので、予め今の状況でどうするかの方針は既に決めてあります。
アメリカの政策金利が引き下げられたら、景気後退が近づいたサインだと読み取って、株の売却を開始すると決めて記事で書いています。
これでまだまだ数年間、株価の最高値更新が続いてしまったら、その時は仕方ありません。保有していたら儲けられていたはずの利益は手にできなくなりますが、今の資産が減るわけではないです。今回はそれで良しとして、次回の景気後退期への教訓にします。
今回は迷うまでに事前に投資行動を決めていただけ、前回のリーマンショック時より少しは成長したことにします。
恐らく今月末にはFRBが利下げを宣言するはずなので、そうしたら数ヶ月に渡って株の売却をして、景気後退期期の株価下落にそなえる体制に入ります。
しあわせトランプの恐怖
しかし、この今の株式市場の状況を見ていて、ついつい頭によぎる話が話があります。私は小さい頃に、ドラえもんの漫画をよく読んでいたのですが、その中に「しあわせトランプ」という道具が出てくる回があります。
53枚のしあわせトランプを引いていき、ジョーカー以外が出れば願いが叶うトランプです。トランプは1枚ずつ消えていき、最後にジョーカーを引いてしまった1人には、不幸が束になって訪れるという道具です。
今の市場は、これからいつかやってくる不景気を認識しながら、それでも短期的に訪れている最高値の株がまださらに上がることを願ってトランプを1枚ずつ引いている危うさがあります。景気後退のジョーカーがいつ現れるかわかりませんが、自分が株を持っている状態でジョーカーを引かないことを願っているようです。
「しあわせトランプの恐怖」という話は、現実に存在するもんなんだなと、しみじみ感じています。