コンテンツへスキップ

予想以上に強かった3月のアメリカPMI

  • by

正直言うと、今日のブログは何を書こうか悩みました。

銀行をめぐる混乱は落ち着きを取り戻しつつありますが、まだ経過観察中と言えます。また、投資についてはすでに利上げ停止を見越した米国債買いの手を打っているので、あとは待ちの状態です。

このような様子見で動かないときには、普段は見ていないデータでも眺めて、世の中を見る目を養っておくのが良いかも知れません。

というわけで、このブログでは普段あまり取り上げていないS&Pグローバル発表のPMIというものを軽く見ていきます。

この記事のポイント

  • 3月のアメリカPMIは予想を上回る結果になった。製造業は景気悪化が続いているが、非製造業が全体を押し上げた。
  • 3月は受注が伸びている企業が多く、内容も良かった。
  • PMIはGDP成長率と似た動きをする傾向がある。1-3月期のGDP成長率も悪くないとの楽観的な見方が広がりそう。

S&PグローバルのPMIとは

S&Pグローバルが発表しているPMI(購買者景気指数)って何という人もいるかも知れないので、どんなものかお話します。

アメリカの企業に景気アンケート調査をしてまとめる経済指標が数多くありますが、このPMIもその1つです。

「企業の購買担当者に景気アンケートしたところで何がわかるんだ」と思うかも知れませんが、企業の利益が減るようなタイミングではハッキリと景気アンケートの結果も低迷する傾向があります。

代表的なものは毎月翌月1日に発表されるISM製造業指数で、ISM製造業指数が低下するタイミングではS&P500の一株利益が低下するという関係が見られることは、このブログで以前から何度も書いているとおりです。

一株利益が低下すれば、株価が下がりやすくなるので、株式投資家にとっても「たかが景気アンケートなんて」と侮れない存在になっています。

もっとも投資家が注目する景気アンケートはISM製造業指数ですが、S&PグローバルのアメリカPMIはISMよりも数日早く発表されるので、3月の景気が良かったのかどうか先に見ておきたいときにPMIは使えます。

予想以上に強かった3月のPMI

前置きはこのくらいにして、先日発表されたアメリカのPMIの結果ですが、3月は予想よりも景気は良かったようです。

  • 総合:53.3(予想49.6)
  • 製造業:49.3(予想47.1)
  • 非製造業:53.8(予想50.2)

この数字は50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気悪化という意味を持ちます。

今回の数字を見ると製造業は50をわずかに下回っているので景気悪化が続いているようですが、非製造業は予想以上に景気拡大が続いて全体を押し上げたようです。

下のグラフはPMI総合指数の推移を表したものですが、これを見ると3月の景気は前月よりも上向いた感じがします。

そして好調な要因を探してみても、内容も良かったです。

3月のアメリカは新規受注も受注残も増加している様子がみられ、需要が回復している印象があります。

この記事のポイント

せっかくなので、PMIからわかることについて、もう1点だけ触れてみたいと思います。

このPMIは実質GDPの成長率ともよく連動しているため(下図)、今回の3月でアメリカの景気が予想よりも強かったとなると1〜3月期のGDP成長率も予想がやや上向きになるかも知れません。

3月の景気が予想よりも強かったとなれば米国株の投資家にとってはプラス、一方で米国債投資家にはマイナスです。

3月も製造業は相変わらず景気悪化の傾向が続いていることを示すデータは他にもいくつかあるのですが(下記事参照)、サービス業が景気を押し上げたために全体的には予想よりも景気が良かった可能性があります。

>>3月もアメリカ製造業の景気はすぐれない

米国債に投資している私にとっては、少し分が悪い展開です。

最近では銀行の不安感も一時期よりは落ち着いている上に、3月の経済市場が悪くないとなれば、国債は短期的には売られやすいのかなと考えてしまいます。

数ヶ月から1年後には米国債の投資は報われると思いますが、しばらくはじっと我慢が必要そうです。


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。