ISMから発表された1月のアメリカ企業の景気について見ていきたいと思います。
今回取り上げる数字は2月1週目には発表されていたのですが、金融政策を決めるFOMC、大手ハイテク企業の決算、1月雇用統計と大きな発表が重なっていたために、このブログでは取り上げそびれていました。
景気の波を捉えるなら見過ごすにはもったいないデータなので、遅ればせながら、結果と解釈を書いておきたいと思います。
ざっくりと結果を振り返ると、製造業は不調が続き、サービス業は悪かった12月からの急反発が見られて、強弱入り乱れるスッキリしない形になっています。
どう読めばいいのか少し解釈に困るのですが、昨日も書いたように恐らくサービス業は12月の低迷は一時的なもので、俯瞰で見ると製造業もサービス業もゆっくりとした景気減速は進行中という理解になりそうです。
この記事のポイント
- ISM製造業指数は前月12月よりも悪化し、引き続き景気は悪い。
- 一方で、ISM非製造業(サービス業)は急激に悪化した12月から一転して景気拡大を示した。12月の景気の悪さは一時的であることが示された。
- まとめると、大きなトレンドとしては製造業もサービス業も景気は弱まっている。製造業は景気悪化のレベルに突入しているものの、サービス業はまだ持ちこたえていると言えそう。
弱かった製造業指数
1月の製造業の景気指数は予想していたよりも悪く、前月よりも低下していたことがわかりました。
ISM製造業指数
- 予想:48.1
- 結果:47.4
上のグラフは過去2年間の製造業の景気指数をグラフにしたものですが、このグラフはとてもわかり易く、アメリカ製造業の景気が悪化していることを示しています。
50を下回ると製造業の景気悪化を示すのですが、既に3ヶ月連続で50を下回ってデータは悪化を続けています。
強かったサービス業指数
しかし、サービス業の景気指数(ISM非製造業指数)は、製造業とは少し違った動きを見せています。
12月にはサービス業の景気は急速に悪化して、アメリカ全体の景気も危ぶまれたのですが、1月のデータは予想を大きく上回る反発を見せました。
ISM非製造業指数
- 予想:50.4
- 結果:55.2
1月のサービス業の景気指数は大きく上昇して、前月よりも景気拡大していることを示す50を超えています。
ここまで見てきたように製造業とサービス業で一見すると異なる結果に見えるのですが、この結果はどのように捉えたらいいのでしょうか。
結局のところ、サービス業のグラフ(青線で書かれたグラフ)を再度確認するとわかるのですが、12月の急激な景気悪化は一時的なものだっと見るのが一番スッキリすると思います。
そのように解釈するとサービス業の景気も恐らくまだ緩やかな下落トレンドが続いていると見ることができます。下の図のようにトレンドの線を引くと、サービスの景気悪化は2023年の半ば〜後半になりそうです。
12月のサービス業は寒波の影響などの一時的な影響を受けていたのかもしれません。このブログでも先月は景気悪化が心配だと書いてしまいましたが、サービス業の一時的な悪化を過大に解釈してしまったようです。
まとめ
12月のサービス業の低迷を一時的とみなすと、製造業もサービス業も緩やかな景気減速の中にいることがわかりました。製造業は既に景気悪化水準にいますが、サービス業はまだ景気が持ちこたえているので、アメリカ全体の景気もしばらくは持ちこたえるのかもしれません。
また、この緩やかな景気の鈍化傾向は終わったようにも見えないので、「アメリカ経済は大きく傷つかずに軟着陸(ソフトランディング)できる」と結論づけるのもまだ早いと思います。