大手テクノロジー企業の中ではいち早くネットフリックスが決算発表をしたので、結果を覗いてきたいと思います。
まず10-12月期の利益は予想以上に大きく減少したことが目に付きましたが、どうもネットフリックスの場合、投資家は一株利益よりも会員数の動向を気にしているようです。
会員数の伸びが予想よりも大きかったため、決算発表直後に株価は大きく上昇しています。
この記事のポイント
- 10-12月期は売上はアナリスト予想に届いたものの、一株利益は予想を下回った。
- しかし、広告付き低価格プランの効果もあったのか、会員数の伸びは予想を大きく上回った。
- 会員数の伸びが回復すればネットフリックスの売上成長率も回復するが、広告付きプランで単価が伸び悩むため、以前のような高い成長率は期待できない。
10-12月期業績
ネットフリックスの22年10-12月期の数字を振り返っていきます。
- 一株利益:$0.12(予想$0.45)
- 売上:$7.85B(予想$7.85B)
- 会員数:766万人増(予想457万人)
ネットフリックスの売上からまず見ていきます。
売上は一応アナリストの予想通りにおさまりましたが、それでも前年比わずか+2%とネットフリックスらしくない数字が続いています。
その影響を受けてか、営業利益の伸びも前年比マイナス13%で良くないです。一株利益が予想を下回っているのも気になります。
投資家は会員数の伸びに反応
それでも投資家は、今回の決算で発表された会員数の伸びに反応して株価が上昇したものと思われます。
会員数は予想457万人増加に対して、実際は766万人と大幅に予想を上回りました。2022年前半まではコロナの反動なのか会員数の伸びが減少に転じていましたが、会員数の伸びは少し回復しているように見えます。
今回の会員数の伸びは一年間続くと会員数は前年比10%超えを達成できるので、投資家にとってはひとまず安心材料になったのではないかと思います。
個人的にはまだ
ただ、今回の決算で「ネットフリックスが買いか」と聞かれると、少し首をかしげたくなってしまいます。理由は以下です。
- (1)そもそも2023年はアメリカに景気後退が訪れて株価が下がると思っているので、今はどんな銘柄も買いたくない。
- (2)景気後退時後に安くなった後には米国株を買いたいが、その時にはもう少しだけ成長率の高い銘柄を選びたい。
今年は景気後退があると思っているので、そもそも今のタイミングでそれほど株を買いたいとは思いません(上記1)。
景気後退が訪れた後にはいざ米国株を買うタイミングが来るはずですが、そのタイミングではFRBは金融緩和をして成長性の高い銘柄ほど株価が上昇するはずです。
(2022年に金融引き締めで成長性の高い銘柄ほど、大きく売られたのと同じ現象が起きます。)
ネットフリックスの売上は(会員数)×(単価)で、会員数こそ二桁パーセントの伸びに回復しそうな様子が見えていますが、まだ単価の増加には時間がかかる気がしています。
2022年11月からネットフリックスは広告付きの低価格プランを始めているように、今は価格を落として会員数を伸ばす時期に見えるからです。
ネットフリックスは今後も長期的に動画配信サービスの分野で活躍を続ける企業だとは思いますが、それは高成長企業としてではなく安定成長企業としての評価です。2023年に世界的に景気が悪化して買い場が来たとしても、ネットフリックス以上に成長性が高い企業は比較的簡単に見つかるのではないかと思ってしまいます。
なので、2023年の景気後退が来ても、ネットフリックスは一番に買いに行かなくて良い銘柄に見えます。