12月のアメリカの雇用統計の結果については既にブログを書いています。
しかし、書き終わった後で気がついたことがあるので、少し追加で書いておきたいと思います。
私の予想が正しいなら、今回の12月のアメリカの雇用データを見る限り、1970年代のような高インフレの再燃は起こらないかも知れません。
この記事のポイント
- 1970年代のアメリカは高インフレの波が何度も押し寄せたが、製造業・非管理職の賃金の伸びが前年比5%を下回った後はインフレが収まった。
- 2022年の製造業・非管理職の賃金の伸びは長らく5%を超えていたが、22年12月に5%をわずかに下回った。
- 今のアメリカは人手不足なので賃金の伸びがコロナ前に戻らないかも知れないが、70年代のようなインフレ再燃は起こらないかも知れない。
インフレを繰り返した1970年代の特徴
本題に入る前に、1970年代のアメリカのインフレについておさらいをしておきます。
1970年代はアメリカの赤字財政やオイルショックなどもあり、高いインフレの波が何度か訪れました。
何度も繰り返されるインフレの原因と考えられるのが、賃金の上昇でした。下記のブログ記事でも書きましたが、製造業・非管理職の賃金の伸びが5%を下回った1980年以降はインフレ再燃は見られませんでした。
この「5%の賃金の伸び」というのは、1970年代のインフレ再燃の一つの鍵でした。
5%の伸びを下回った賃金上昇率
話は先日発表された12月のアメリカ雇用統計に戻ります。
2022年12月の製造業・非管理職の賃金の伸びを確認してみると、前年比で4.97%でほんのわずかに5%を下回るところまで来ました。
もしも、1970年代のように前年比5%の賃金上昇が再燃の一つの鍵なら、今回でアメリカのインフレ再燃のリスクは大きく減ったのではないかと思います。
(※もちろん、次回の雇用統計で12月データが修正される恐れはまだあります。)
インフレが再燃しそうなら、2023年に起こるだろう景気後退でインフレに強い資産(石油株、REIT、コモディティ、ゴールド)などを買おうと思っていましたが、インフレが過熱しないならメインの投資先は米国株で良さそうです。
答え合わせは2024年以降
この記事では、賃金の上昇が抑えられつつあるので1970年代のようなインフレの再燃はないかも知れないという話をしてきました。
ただし、この予想の正解を確かめるにはかなりの時間が必要そうです。インフレが起こるとしても、2024年から2025年頃だと思うからです。
2020年の大規模な景気刺激策がアメリカのインフレを押し上げたのは、1年後の2021年から2022年にかけでした。
2023年にアメリカで景気後退が起こって金融緩和と財政政策が始まっても、それが原因でインフレ率が上がるのは2024年か2025年まで待たないといけないです。
この答え合わせはかなりの時間がかかりますが、インフレ再燃するかどうかは2024年や2025年の投資を大きく左右するので注意してみて言いたいと思います。