アメリカの金融政策を決める会議であるFOMCが12月も終わりました。
政策金利は予想されていた通りの0.5%引き上げだったので、何もサプライズはなかったと思います。
一方で、少し市場が驚いたのはFOMC参加メンバーによる経済見通しの中身だったと思います。ここでは12月のFOMCで示された経済見通しで政策金利と失業率に焦点を絞って話をします。
この記事のポイント
- 12月のFOMCでは予想通り0.5%の政策金利の引き上げが行われた。
- FOMC参加メンバーによる経済見通しでは、2023年末の政策金利が5.0%〜5.5%になる見通しが示された。これは市場が予想していたよりも高い。
- 2023年の失業率の見通しも引き上げられた。2022年から2023年までに0.9%の失業率が上がることになるが、この規模の失業率の上昇は通常は景気後退を引き起こす。
政策金利について
12月のFOMCでは政策金利が0.5%引き上げられましたが、これは予想通りでした。
なので、ツッコミを入れる価値があるのは、同日に発表されたFOMCメンバーに経済見通しのほうになります。
まず、多くの人が少し驚いたのは2023年の政策金利見通しです。FOMC参加メンバーの大半は2023年末の政策金利が5.00%〜5.50%になると予想していることがわかりました。
これはFOMC前に市場が予想していたよりも、大きな利上げ見通しです。下のグラフのように、FOMC前の市場は2023年半ばに5.00〜5.25%に達したら、その後は利下げがあると思っていたからです。
予想以上の利上げ見通しに反応して、FOMC後に株価は下げたように思います。
失業率について
FOMCの経済見通しで、政策金利以外に気になったのは「2023年の失業率の見通し」です。
次の表を見る通り、FOMCメンバーは失業率が2022年の3.7%から2023年に4.6%にまで上昇すると見ています。
この予想通りなら、1年間で上昇幅は0.9%にもなります。
過去のアメリカでは、1年間で0.5%も失業率が上がればほぼ確実に景気後退になっていたのですが(0.5%失業率上がったことで景気後退と推定するサームルールというものもあります)、今回は約2倍の0.9%もの失業率増加を見込んでいることになります。
経済の専門家であるFOMCのメンバーたちがサームルールを知らないわけはないので、FOMCメンバーは2023年に景気後退が起こることを認識しているはずです。
「景気後退が起こることは分かっているけど、インフレを退治のために政策金利を引き上げて維持さえすれば、インフレの収束は進むはず」というのが(FOMCメンバーが示そうとしている)2023年の姿のようです。
FRBがこのような強硬姿勢に出ていることがわかれば、2023年の投資の方向性もおのずと決まってくる気がします。
景気後退が収まるまでは(失業率の上昇が止まるまでは)株に強気な姿勢を控え、それまでは景気後退に強い国債や現金で資産を守るというのが基本姿勢になりそうです。