久々にアナリストが予想するS&P500の一株利益予想を見てみました。
納得する部分とそうでない部分がそれぞれ1つずつありました。
私は2023年のどこかでアメリカは景気後退になると思っているのですが、アナリストたちはまだそうは思っていないように思えます。
この記事のポイント
- アナリストは2022年10-12月期でS&P500の一株利益が前年比マイナス成長に転じると予想している。
- また、アナリストたちは2023年に入ると一株利益はプラス成長に復調して、下半期にかけて成長が加速すると見ている。
- アナリスト予想は恐らく2023年の景気後退をまだ本格的に織り込んでいない。
10-12月期にS&P500一株利益マイナス成長か
今後の数四半期でS&P500の企業の一株利益が何%成長するのか、アナリスト予想が出ているので確認してみます。
上のグラフを眺めていると気づくことが2つあります。
- (1)2022年10-12月期(Q422)にマイナス成長に落ち込むと見られている。
- (2)2023年から企業利益はプラス成長に転じると予想されている
(1)10-12月期にS&P500の一株利益はマイナス成長が見込まれる点は、特に不思議なところはないです。
以前から、このブログではNY連銀製造業指数やISM製造業指数が「景気悪化」のシグナルを発すると、S&P500の利益成長もマイナスになると言ってきました。
最近のNY連銀指数はすでに景気悪化を示していて、ISM製造業指数もほとんど景気横ばいにまで低下しているので、このまま行けば恐らく企業利益はマイナス成長になる可能性は十分あります。
>>【NY連銀製造業指数】アメリカ企業の利益成長が上向く兆しはない
2023年の一株利益予想の背景
ただ、わからないのは(2)23年から企業利益はプラス成長に転じるという点です。
確かに2023年に入れば利上げは停止すると見られていますがそれでも4.75-5.00%の高い金利がしばらく続きます。
この状況は企業や経済を圧迫するはずです。2023年が深まるごとに経済が成長を加速させるというのは、どういうことなのでしょうか。
NY連銀が毎月調査しているデータには、半年後の景況感を製造業にアンケート調査するものがあります。その最新のデータを見ても、6ヶ月先の景況感は上向いている様子はありません。
フィデリティが発表している世界各国の景気サイクルを確認しても、今回の景気で先行している中国・EU・イギリス・カナダ差し置いてアメリカだけさらっと低迷を抜け出すというのも不自然な気がします。
そもそも、アナリストたちはまだアメリカの景気後退を本格的に織り込んでいないのかも知れません。
下の図を見ると、2022年10-12月期だけ一株利益のマイナス成長を予想しているのは、2021年10-12月が業績好調で前年のハードルが高いからとも取れます。
なので、S&P500の一株利益予想はまだ下がりうる気がしています。