毎月のアメリカの経済指標の中でもっとも早く発表されるため、景気の先行指標となる数字があります。ISM製造業景気指数です。
アメリカの製造業350社の購買担当役員に景況感を「新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫」の5項目を3段階評価するアンケートを行う、とてもシンプルなものです。結果の見方はさらに、簡単で50以上であれば好況、50未満なら不況とみます。
昨晩発表された、2019年6月ISM製造業景況指数は51.7でした。50を超えているので、まだまだボーダーラインは超えているのですが、この数字は2018年夏からずっと下降気味で、ついに2年半ぶりの低水準にまで落ち込みました。
以下は、直近1年間のISM製造業景況指数です。去年の夏は60を超えたこともありましたが、この1年間はずっと減少していることが数字からもわかります。
ISM製造業景気指数 | |
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2019年06月 | 51.7 |
2019年05月 | 52.1 |
2019年04月 | 52.8 |
2019年03月 | 55.3 |
2019年02月 | 54.2 |
2019年01月 | 56.6 |
2018年12月 | 54.1 |
2018年11月 | 59.3 |
2018年10月 | 57.7 |
2018年09月 | 59.8 |
2018年08月 | 61.3 |
2018年07月 | 58.1 |
日本でも製造業不振
7月1日に発表があった日銀の短観でも製造業の景況感は不調でした。製造業は貿易戦争の影響を受けやすいので、日米問わず製造業の不調が明らかになっています。
大企業製造業の景況感、2期連続で悪化 6月日銀短観(日経新聞)
出典:日経新聞
上記の図を一言で表すと「好調な非製造業、不穏な製造業」ですね。
ただ日本の場合は、米中貿易戦争だけでなく、アメリカの利下げを警戒した円高が進行していることも要因になっていると思われます。このデータは米中貿易戦争の休戦が宣言された6月29日より前に企業が回答しているものが大半ですので、来月以降どう動くかを見たほうがよいのかなと思います。
現時点では、特に急いで株を売るような事態にはなっていないようですし、まだまだ米中貿易協議で研ぎ澄ました緊張感を緩めて、日常生活をゆるりと送っても投資生活には何ら影響なさそうです。