先日はFRBはそろそろ利上げのペースの鈍化を検討しているという話を書きました。
そこで、もしもFRBが利上げ停止になった場合には、過去には何が起こっていたのかを書いていきたいと思います。
この記事のポイント
- 過去のアメリカでは、利上げ停止後に遅かれ早かれ景気後退に陥っている。
- 利上げ停止で、国債が買われて長期金利が低下する現象が見られる。利上げ停止後の国債書いは投資の選択肢になりえる。
- 利上げ停止で株も買われるが、景気後退時の株価下落で株の上昇のほとんどは消える。
ちなみに、よく知れている話ですが、FRBが利上げ停止後には遅かれ早かれアメリカの景気後退(≒不況)がやってきています。
遅い場合には利上げ停止カから数年後、早い場合なら数カ月後と感じですが、今回も恐らく2023年(それか、かなり早ければ2022年末にも)景気後退に入ると思います。
>>2022年末のアメリカの景気後退入りの可能性高まる【景気先行指標】
以下では、景気後退以外の話について深ぼっていきます。
金利は長期も中期も長期もピークをつけて下がる
まず、あらゆる資産の価格を動かす金利について見ていきます。
アメリカでの利上げ停止で金利がピークアウトして、低下に向かう傾向があります。そして、この動きは中期金利(2年国債利回り)でも、長期金利(10年国債利回り)でも見られます。
次のグラフは新型コロナ不況時の政策金利の様子を表したものですが、政策金利の上昇が止まると中期も長期も国債利回りは低下に転じています。
2018年には資産縮小(量的引き締め)もやっていたのにも関わらず、国債が買われて利回りが低下しているところを見ると、かなり強い国債買いが起こっていたようです。
同様に過去の利上げ停止時にも中期と長期の金利の低下が見られます。
なので、もしも今後数ヶ月後にFRBが利上げを停止した場合には、国債が買われて中期金利も長期金利も低下する可能性が高いです。
米国債はこれから先に投資先としては有望かもしれません。
ただし、長期米国債への投資のタイミングはまだ来ていないとも思います。本当に2023年前半に利上げが停止されるかどうかはインフレの動向によるので、FRBが利上げを停止するアナウンスが出てから国債を買っても十分間に合うと思います。
そうでない場合には、インフレが進む中での国債への投資は分が悪すぎて含み損を抱えることになるはずです。
株価は一時的に上昇するが、不況を前にさらに下落する
一方で、利上げが停止すると株価はどのように動くのでしょうか。
過去の動きを眺めていると、株に悪影響を与える金利の上昇が止まるので一時的には上昇するようですが、やがて訪れる景気後退を前に急落するというパターンが多いように見えます。
以下は、新型コロナ不況の前の政策金利と株価の様子ですが、利上げ停止で株価上昇した後、景気後退入りで株価が急落しています。
同様のことは世界金融危機前にも見られました。
なので、同じようなパターンが続くなら、FRBが利上げ停止を宣言する前後で株価は上昇する可能性が高いと思います。
しかし、たいていの場合はいずれ来る景気後退時の株安で、その上昇分が消えることになります。
身軽に株を売買して稼ぐ人は利上げ停止時の株高を狙うのも良いですが、ゆっくりと投資する人ならこの一時的な株高は無視しても構わないと思います。