アメリカの8月の消費者物価の発表があり、まだインフレがくすぶっている結果に落胆した投資家が株を大きく売りに出ています。
ダウは2020年6月以来の1200ポイント下落しました。
もともと先週から株式市場は楽観的になりすぎていた分、大きな下落になったようです。
>>週後半に上昇をみせたが、まだ楽観できない米国株(22年9月10日記事)
この記事のポイント
- 8月のアメリカの消費者物価は、予想を上回る伸びになった。
- エネルギー価格は下落したものの、幅広いモノやサービスでまだ高いインフレが残っていることが確認され、さらなる利上げが意識された。
- 利上げ予想が強まったことで、先週から楽観的だった株価は大きな下落につながった。
幅広く物価の上昇が見られた8月のアメリカ
8月の消費者物価の結果を数字でおさらいしておきます。
- 前年比:+8.3%(予想:+8.1%)
- 前月比:+0.1%(予想:-0.1%)
まず、前年比でも前月比でも予想を上回る結果になりました。特に、前月比で物価は下がると思われていたものが、プラス成長が発表されています。
最近のアメリカではガソリン価格の下落が見られていたようにエネルギーの物価指数は確かに下がったのですが、食品、住居費、医療サービスなど幅広い分野で物価の上昇が続いていることが確認されました。
エネルギーの物価はたしかに前月比マイナス5.0%で大きく低下していますが、この物価は全体の9%しか影響を及ぼしません。
その他の物価が高い上昇を続けている様子を見て、投資家まだ物価の伸びは収まっていないと判断したようです。
上昇したコア指数
ガソリン以外で多くの物価が上がっていることを見るには、消費者物価のコア指数(変動の大きいエネルギーと食品を除いた物価指数)を見るといいかもしれません。
- コア前年比:+6.3%(予想+6.1%)
- コア前月比:+0.6%(予想+0.2%)
下のブラフは消費者物価の「前年比」と「コア前年比(食品とエネルギーを除く)」を比較したものですが、コアは物価の伸びが加速したことがわかります。
政策金利予想は大きく引き上げ、株価は下落
アメリカの物価の伸びはまだ安心できる下落を見せていないことがわかったので、投資家たちはこの日に目まぐるしく動きました。
まず、金利先物市場の投資家が予想する政策金利の引き上げ予想はより厳しいものに引き上げられました。
また9月の政策金利は0.75%を予想する声が大半ですが、1.00%の大幅な利上げを予想する投資家も32%にまで増えたようです。
一段と厳しい政策金利が予想されることで、株価に影響を与える実質金利も上昇してしまいました。
6月の株安時よりも実質金利は大きく上がっているので、この悪影響を受けて今後の株価は6月の安値を下回る可能性も十分あると思っています。