アメリカの景気先行指標を見ていくと、今後半年以内に88%の高い確率で景気後退(≒不況)におちいるというシグナルが出ています。
アメリカの実質GDPは既に2四半期連続でマイナスになっているものの、未だに雇用が強いことを背景にまだ景気後退にはなっていないという考えがあります。
しかし、そういう考えの人でも2022年末や2023年の早い時期には景気後退を認める展開になるのかも知れません。景気先行指標を発表するカンファレンスボードによると、次の景気後退は短くて浅いものになる模様です。
まだリスクの高い時期だと思うので、現金比率は高めのままで良いと思います。
この記事のポイント
- 景気先行指標は4ヶ月連続でマイナスを記録した。
- 4ヶ月連続で景気後退入りした場合には、その後半年以内に88%の確率で景気後退入り。
- 既に景気後退に入っているとしても、まだ景気の底は訪れていない。株価と景気は似たような時期に底打ちするので、まだ株は底打ちしていない。
4ヶ月連続で前月比マイナスになった景気先行指標
景気先行指標は今後のアメリカの景気の強さを表すデータで、毎月半ばにカンファレンスボードが発表しています。
実質GDPと関連が強く、景気後退期が迫っていることや、景気後退期の終わりを予想することにも使えます。
7月の景気先行指標は前月比でマイナス0.4%で、景気の悪化を意味するマイナスが続いています。
- 予想:マイナス0.5%
- 結果:マイナス0.4%
注目すべき点は、この数ヶ月で景気先行指標のマイナスが続いていることです。このマイナスが続くほど、今後半年以内のアメリカの景気後退確率が高まります。
米景気先行指標と景気後退
- 1959年以降、3ヶ月連続で前月比マイナスを記録した12回のうち8回で、半年以内に景気後退(67%)。
- 1959年以降、4ヶ月連続で前月比マイナスを記録した8回のうち7回で、半年以内に景気後退(88%)。
現時点では4ヶ月連続マイナスなので、88%の高い確率でこれから半年以内に景気後退になると見られます。
7月から半年以内なので、2022年内から2023年の早い時期までにアメリカは景気後退になりそうです。
株価はまだ底を打っていない
「既にアメリカは1-6月でGDPマイナス成長になっている。景気先行指標のシグナルは1-6月の景気低迷を指していて、株は既に6月で底を打ったのでは?」という反論もあるかもしれません。
その可能性はありますが、過去のデータを見てるとまだ私にはアメリカの景気も株価も底を打っていないと感じます。
この景気先行指標は景気の低迷を脱する時には、前月比でプラスに反転する傾向があります。
次のグラフの青いグラフは景気先行指標を示していますが、景気後退(灰色)が終わる前に景気先行指標が増加していてプラス成長に転じていることがわかります。
しかし、今のアメリカの景気先行指標はマイナスが続いています。なので、既にアメリカが景気後退に入っているとしても、まだ景気悪化の時期は脱していないことなりそうです。
そして、次の記事でも書いたように、景気と株価の底はほとんど同じ時期にくることを考えると、まだ景気も株価も底を打っていないと思われます。
カンファレンスボードのコメント
最後に景気先行指標を発表しているカンファレンスボードによるコメントも載せておきます。
- 2022年第3四半期もアメリカ経済は景気拡大しないだろう(実質GDPマイナスになると予想)。
- 2022年末または2023年の早い時期に、短くて浅い景気後退に突入しうる。
多くのエコノミストが第3四半期のアメリカはプラス成長に戻ると予想していますが、カンファレンスボードの見方は少し違うようです。
次の景気後退が短く、浅いものになると考える根拠はわかりませんが、経済指標と景気の規模についても引き続き調べていこうと思います。