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米長期金利に見られる低下の余地と一時的な株価上昇の可能性

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最近の米国株は6月中旬からまずまずの回復が続いていますが、これから数ヶ月か半年くらいかけて再び今年の安値を更新する展開があると思っています。

>>GDP成長率と米国株の底はほとんど同じ時期に訪れる。

ただし、反論の余地もあることは承知しています。

上記の記事では触れませんでしたが、短期的にはまだいくらか上昇要因があるとも考えています。上昇要因のひとつは長期金利の低下です。

あるデータを見ていると、現時点でも長期金利は2.0%前後まで下がってもおかしくなく、もしも実現すれば株価の上昇を短期的に助ける可能性があると思っています。

この記事のポイント

  • 基本的には、今後数ヶ月から半年でアメリカ企業の業績悪化で株価はまだ下がると思っている。
  • しかし、短期的には長期金利が下がって、株価が上がる可能性はまだいくらかありそう。
  • 長期金利と同じような動きをする銅÷ゴールドの動きを見ていると、今の長期金利は2.0%付近にまで下がっても不思議ではない。

2022年の株価動向


まず、2022年の米国株がどういう動きをしていたのかを簡単に振り返ります。

米国株は大まかに「長期金利」と「企業利益」の影響を受けますが、2022年の8月までに大きく株価に影響したのは長期金利でした。

  • (1)長期金利:6月中旬まで金利が上昇して、株価を下げる主要因となった。6月中旬からは金利が下落して株価は上昇。
  • (2)企業利益:6月中旬までS&P500の企業利益予想は上昇して株価の上昇圧力にあったはずだが、長期金利の上昇の悪影響に勝てず株価下落。

次のグラフのように今年の6月中旬までは長期金利が上がれば株も売られて、6月中旬以降は長期金利が下がって株が買われるという関係が出来ています。

実は2022年に入ってから企業利益の予想も変化しているのですが、こちらではS&P500の株価の値動きを説明できない状況なので、2022年は主に長期金利が株価に影響を与えているのだろうと思います。

別の記事でも書いたように、アメリカの景気が悪くなればいずれば(数ヶ月から半年くらい経てば)企業利益予想の低下とともに株価が下落すると思うのですが、まだその時期は来ていないように見えます。

銅の価格を見る限り長期金利は下がり、株価を支える可能性がある


さて、S&P500が企業利益ではなく金利に大きく反応する今の状況がまたしばらく続くなら、長期金利の行方が株価を左右することになりそうです。

では、今後の長期金利はどう動くのでしょうか。

今後の長期金利の動きを銅とゴールドの価格の比率から考えていきたいと思います。

下のグラフを見るように(銅の価格)÷(ゴールドの価格)の値は過去何年もアメリカの長期金利と似た動きをしていました。

しかし、最近になって「長期金利」は「銅÷ゴールド」に対して、高い状態が続いています。

銅は景気の悪化を見越して価格が下がっているのに、長期金利は銅に比べてまだ十分低下していないようにも見えます。銅÷ゴールドと同じような低下をするなら、長期金利は2.0%前後まで低下しても不思議ではなさそうです。

もしも、長期金利が下がるなら、これは株価を支える力になりそうです。

もちろん、「長期金利」と「銅÷ゴールド」のズレは「銅÷ゴールド」が上昇することで解消される場合も考えられますが、銅の主な消費先の中国の不動産市場では不調が続きそうなので、銅の価格が急上昇する展開はまだ考えにくいです。

冒頭でも話したように私は数ヶ月から半年くらいで6月の株価を下回る展開はあると思っていますが、企業利益ではなく金利の影響を受けている段階で長期金利が下がれば、株価の一時的な上昇の余地はあるとも思っています。


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