先週は5月のアメリカの物価が予想以上に上昇して、インフレが悪化していることがわかりました。
>>予想以上に伸びるアメリカの物価、今の状況では米国株は買えない。
この止まらないインフレを抑えるために、投資家たちは想定していたよりもハイペースな政策金利の引き上げ(利上げ)が来ることを覚悟し始めたようです。
ハイペースな利上げはインフレを抑える効果があるはずですが、株価を下げる悪影響もあるので、今週の米国株は恐らく最高値から20%超えの下落を記録するのではないかと思っています。
この記事のポイント
- 5月の物価の上昇を見て、市場の投資家たちは今後の利上げ予想を引き上げた。
- 市場が金利予想を引き上げたことは、株価はマイナスの働く。まもなくS&P500は弱気相場入りする。
- 弱気相場になれば、過去100年間では70%超えの確率でアメリカは景気後退になる。
利上げ予想をさらに強める市場
去年から政策金利の引き上げ予想の前倒しとハイペースが続いていましたが、まだまだこの動きは終わらないようです。
投資家たちはインフレを抑えるためにはまた一段と利上げを強めなければならないと考え始めたようです。6月13日朝時点の金利先物市場の投資家たちが予想する利上げは次のようになっています.
比較のために今年4月の時点の予想も灰色で上のグラフに表示してみましたが、この2ヶ月の間でも随分と引き上げられているのがわかります。
また、6月13日時点で2022年12月まで3.25%〜3.50%まで政策金利が引き上げられると市場は予想しています。
少し昔を振り返ると、昨年9月にFRBパウエル議長がインフレは一時的だと言っていた頃は、2022年12月に最初の利上げ(0.25%分)が1回あるだけだと予想されていました。
わずか9ヶ月でずいぶんと遠いところまで来たなと感じます。
S&P500は今週弱気相場入りか
投資家たちは今まで考えていたよりもハイペースな利上げを予想し始めたことは、米国株にも悪影響が出そうです。
先週末の時点でS&P500は2022年1月につけた最高値から19.1%下げていたので、あと1%弱下げれば最高値から20%の下落を達成し、弱気相場入りしたと呼ばれることになります。
この1週間で米国株は最高値から20%超えの下落を終値で記録して、弱気相場入りになる可能性はかなり高いと思います。
米国株の弱気相場が意味するもの
弱気相場は、株式市場が発するアメリカの景気後退のシグナルと捉えても良いかも知れません。
過去100年間の米国株を調べてみたのですが、1929年のウォール街の暴落から2020年新型コロナウイルスの不況まで米国株は14回の弱気相場を経験していて、そのうち10回でアメリカは景気後退入りしています。
その確率は70%超えです。まもなく訪れる弱気相場は景気後退のシグナルの一つと受け取って良さそうです。
さいごに
アメリカの消費者物価の悪化から、政策金利の予想が引き上げられて、今週米国株は弱気相場入りする可能性が濃くなってきました。
この弱気相場入りを景気後退のシグナルと捉えると、最近ではあらゆるシーンで景気後退のシグナルを見かけるようになりました。
40年ぶりの好景気を記録した去年2021年の反動や、そもそもリーマンショック後から続いてきた金融緩和の反動は大きいと思われるので、次の景気後退に向けて今から投資はかなり慎重になったほうが良さそうです。