先月2022年5月、アメリカの消費者が感じている景気が既に景気後退時のように低迷しているという話をしました。
>>アメリカ消費者の景況感、すでに景気後退時のような低さが続く(2022年5月14日記事)
この記事はその続報です。
上の記事から1ヶ月経って最新の数字が上がってきたので、6月分のデータがどうなっているのかを見ていきます。
投資をしている人は気づいていると思いますが、この1ヶ月で景気が好転しているわけはなく、とても厳しい内容になっています。
この記事のポイント
- 6月のミシガン大学消費者信頼感指数は予想を大きく下回る50.4で、低迷していた前回よりもさらに大きく低下した。
- 6月の消費者信頼感指数は過去最低を記録した。
過去最低にしずんだアメリカ消費者の景気指数
早速、発表されたミシガン大学消費者信頼感指数(6月分)を見ていきます。
- 予想:58.8
- 結果:50.2(前回58.4)
結果は、予想(58.8)を大きく下回っただけでなく、低迷していたと伝えた前月(58.4)からさらに大幅に悪化していました。
「結果の50.2という数字がどれくらい悪いのかわかりづらい」という人も、この数字が過去最低だったと伝えれば、それがどれだけ悪いかわかると思います。
ミシガン大学のサイトには1952年からのデータが掲載されているのですが、そのどの月と比較しても2022年6月の数字が低かったです。
さすがにここまで低いのなら、景気後退を避けることはほぼ不可能だと思います。
消費余力が減るアメリカ
現時点で既に景気後退に入っているかどうかというと、まだ入っていないとは思っています。
アメリカのGDP成長率は個人消費が大半を占めるのですが、先月発表された4月分の個人消費を見る限りはまだ成長が続いていたからです。
>>【詳細記事】アメリカの消費はまだ堅調でも、今後に不安材料
ただし、上のリンクの記事にも書きましたが、かなりの不安材料もあります。
2022年になっても個人消費がプラス成長できた背景には、消費者がクレジットカードやリボ払いなどの信用(≒借金)を使っていることが背景にあります。
しかし、消費者のローンの伸びを調べてみると5月に変化が訪れたかも知れない痕跡があります。
上の消費者ローンの伸びを見てみると、3月や4月はお金を借りて消費をしてアメリカの個人消費もプラス成長ができた一方で、5月にはそろそろ借りる余力がなくなってきたのか、消費意欲が減ったのかわかりませんが、どうも息切れが見られます。
6月中旬には5月分の小売売上高、6月末には5月分のアメリカ個人消費の結果発表がありますが、このままならたぶん5月は小売売上高も個人消費も低迷しているのではないかと考えています。
先日に5月の消費者物価が予想以上に高かったことで米国株は大きく下げましたが、今月警戒すべきニュースはまだ残っていると思っています。