今日は日曜日で株式市場も休みということで、普段は見れていないデータをあれこれ眺める1日となりました。
こういうことをしている時には大抵たいした収穫はないのですが、「何もアウトプットがない1日」というのも悲しいので、短い記事になっても興味のままに調べたことを共有しようと思います。
「インフレ率4%を超えて、なおかつ失業率が4%を下回ったら、アメリカは2年以内に景気後退になる」という話を聞いたので、実際に調べてみました。
そもそもそういう状況はかなり珍しいのですが、過去70年間のアメリカの動きを振り返ると成り立っているようです。そして、今のアメリカはまさにその珍しい状況の中にいるようです。
この記事のポイント
- 1950年以降から去年までで、消費者物価が4%を超えて失業率が4%を下回ったのは過去2回あり、1年か2年で景気後退になっている。
- 2021年12月にアメリカは「消費者物価4%超え、かつ失業率4%未満」の条件を満たした。過去のようになるなら、恐らく1-2年で景気後退になる。
調べたきっかけ
そもそもなぜ、今回調べるきっかけになったのは、次の記事です。
>>サマーズ元米財務長官、金融引き締めが経済に影響を及ぼしている兆候(ブルームバーグ)
この記事の中で、サマーズ氏は今後のアメリカの景気後退について、次の様に話をしています。
インフレ率が4%を突破し、失業率が4%を割り込んだ場合、過去の事例では2年以内にリセッション(景気後退)に陥ることが示されているとあらためて指摘し、「今回もそうなるというのが私のベストの推測だ」と話した。
「インフレ率が4%超え」も「失業率が4%を割り込んだ場合」も、アメリカの景気としてはかなり強い場合に起こりうるものですが、その2つの条件がそろうほどの景気が過熱してしまうと、2年ほどしか景気が持たずに景気が落ち込むというようにも聞こえます。
なるほど、では実際に本当にそのような現象が見られるのかを、これから確かめてみたいと思います。
過去のデータを調べてみると
今回はFREDというツールに含まれている1948年から2022年4月までのデータを使って、調べてみました。
まず、「消費者物価が前年比4%超え」かつ「失業率が4%を割り込む」の2つの条件が揃うような時期はそもそもかなりレアだということがわかりました。
前回これが起こったのはなんと1968年5月から1990年2月で、このときは確かに発生から1年7ヶ月後に景気後退になっています。
1968年よりも以前で確認できたのは1951年1月で、それから2年5ヶ月後の1953年6月には景気後退期に突入しています。
1951年の場合には発生から2年5ヶ月で景気後退なので、厳密には「2年以内」ではないかも知れませんが2年程度ではあります。
過去70年間で「消費者物価が前年比4%超え」かつ「失業率が4%を割り込む」状況はこれら2回しか起こっていないのですが、そのいずれも2年程度で景気後退になっているようです。
(※その他、1948年も「消費者物価が前年比4%超え」かつ「失業率が4%を割り込む」状況が確認できているのですが、手元のデータは発生時期がわからず、調査対象からは除外しています)
直近では2021年に発生
「消費者物価が前年比4%超え」かつ「失業率が4%を割り込む」という状況はかなり珍しいですが、もし発生すると1、2年程度で景気後退になっていたことがわかりました。
そして、気がかりなのは直近では2021年12月にその現象が発生していることです。
2021年12月から1年なら2022年12月、2年なら2023年12月です。一つの目安として、そのくらいの時期に景気後退があるかも知れないという意識を持っていても良いのかも知れません。