昨晩はアメリカの4月の個人消費が発表されましたが、結果はなかなか良かったです。
少し前に発表された4月の小売売上が良かったので、予想していた通りの結果だったと思います。
今はまだ景気が良いのですが、気がかりなのはこれからです。今は貯蓄を切り崩して消費を続けていますが、それがあと何ヶ月持つかです。
既にアメリカの貯蓄率は14年前のリーマンショック前の水準にまで低下しているようです。
この記事のポイント
- 4月の個人消費はインフレを考慮しても(実質でも)、順調に成長した。
- ただしアメリカは貯蓄を切り崩して消費をしているので、この好調な個人消費は長続きしない。
- 新型コロナ流行時に大きく伸びた貯蓄率は既にリーマンショック前以来の低水準にまで減少した。
順調だった4月のアメリカの個人消費
アメリカの4月の個人消費はとても順調でした。
アメリカの名目個人消費の伸び
- 予想:前月比+0.8%
- 結果:前月比+0.9%(前回:+1.1%)
また下の図からもわかるようにインフレでモノの値段が上がっている影響を除いても(実質でも)消費が伸びていることが確認できたので、4月のアメリカはまだまだ消費の好調が続いていたと言えます。
貯蓄を切り崩して消費するアメリカ
一方で、今月のデータで気になっていることもあげておきたいと思います。
毎月のように同じことを言ってきましたが、アメリカの貯蓄はいよいよまずいレベルまで減少してきたように思います。少し順を追って、データを見ていきたいと思います。
まず、4月は消費が好調だったと買いましたが、この消費は所得以上に伸びていました。
4月の所得と消費
- 個人所得の伸び:前月比+0.5%
- 個人消費の伸び:前月比+0.5%
どうも、稼いだお金以上に使っているわけなのですが、当然ながらそうなると貯蓄は減っていきます。
個人消費と同時に発表されたデータでは、貯蓄率はついにリーマンショックのあった2008年以来の14年ぶりの低水準にまで落ち込みました。
新型コロナウイルスが流行した後、アメリカの消費者は複数回の現金給付もあって貯蓄を増やしておかげで、2021年から力強い消費を続けてきました。しかし、その構造はそろそろ限界を迎えるはずです。
貯蓄を削っているだけではなくクレジットカード払い・リボ払いをして消費をしている様子も見られ、消費者のローン残高は既に過去最高の水準になっています。
この状況でリストラが起こった場合には、当然ながら消費は勢いよく落ち込んでしまうだろうという想像がつきます。
そして、昨日の記事でも書いたようにそのリストラの波は既にIT業界を中心に始まっています。
こうして様々な状況をあわせて考えると、アメリカの景気は今はまだ良くても一度失業率が上昇を始れば、消費も大きく落ち込んでいくのだろうと思います。