先週アマゾンの決算発表があったので、振り返りたいと思います。
既に知っている人も多いと思いますが、1-3月期のアマゾンの決算は良くなかったです。
2001年のドットコムバブル以来の売上の低成長に終わっただけでなく、次の4-6月期はさらに成長率は鈍化するという見通しを発表して、株価は決算発表後に大きく売られることになりました。
内容も悪く、売上規模が最も大きいオンラインストア部門がマイナス成長になっていました。
この記事のポイント
- アマゾンの1-3月期で一株利益は予想に届かず、売上は2001年のドットコムバブル以来の前年比で成長率+7%にとどまった。
- 次の四半期の売上見通しは前年比でわずか+3%〜+7%で、1-3月期よりもさらに成長率は下がる様子
- 主力のオンラインストア売上がマイナスに転じた。ネットショッピング離れが鮮明になった。
低成長に苦しむアマゾン
アマゾンは新型コロナウイルスが流行した初期に売上が大きく上昇した企業の一つでした。
そのアマゾンが今度はアメリカでのコロナの収まりを受けて、逆風に立たされているように見えます。今期は一株利益が予想に届きませんでした。
- 一株利益:$7.38(予想$8.36)
- 売上:$116.4B(予想$116.3B)
売上はアナリスト予想を超えたことは良かった点ですが、前回から引き続き前年比の成長率は一桁にとどまっています。
新型コロナウイルス流行時のボーナス期が終わって、一株利益も大きくマイナス成長になっています。
低調な売上見通し
今期はドットコムバブル以来の売上の低成長だったのですが、それでもまだアナリスト予想を超えていたので、ここまでなら投資家は許せていたかもしれません。
しかし、さらに悪いことにアマゾンの見通しでは次回4-6月期では1-3月よりもひどい低成長が続くと見られています。
- 売上見通し:$116B〜$125.5B(前年比+3%〜+7%、予想$125.5Bを下回る)
これは投資家に失望させる内容だったと思います。残念ですが、4-6月期の見通しを聞いてアマゾン株を売った投資家は多いと思います。
オンラインショップ離れ
最近のアマゾンの低成長は何が原因かを見てみると、新型コロナの流行が収まってきて「オンラインショップ離れ」が進んでいるように見えます。
アマゾンは売上の半分弱をオンラインストアでモノを売ることで稼いでいるのですが、オンラインストアの売上はついに前年比でマイナスに落ち込みました。
部門別売上(10億ドル) | 売上 | 構成比 | 前年同期比 |
---|---|---|---|
オンラインストア | $51.1B | 44% | -3% |
実店舗 | $4.6B | 4% | +17% |
マーケットプレイス | $23.3B | 20% | +7% |
サブスクリプション | $8.4B | 7% | +11% |
広告 | $7.9B | 7% | +23% |
その他 | $18.4B | 16% | 37% |
合計 | $116.4B | 100% | +7% |
前期からの売上成長率を見てみると、オンラインストアの成長率が落ちていることがひと目でわかります。
(※下のグラフは為替の影響を除いた売上成長率でグラフを作成しているので、上の表と数字がわずかに異なります)
唯一良かったことと言えば、クラウドコンピューティングサービスAWSが安定して成長を続けている事かもしれません。
一方で、景気に影響を受けやすい広告は世界の景気鈍化受けて、成長率が下がっています。
さいごに
この記事では1-3月期のアマゾンの決算を振り返りました。
売上成長率は前回の決算に続き一桁に終わってしまいましたが、アマゾンが発表した見通しを見る限り、低成長は4-6月期も続くと見られます。
2022年のアメリカは長期金利が上がっているので、株価が上がるためには個々の企業が成長を加速させる必要がありますが、次の4-6月期も低成長になりそうだという発表に投資家はアマゾン株を手放すことで反応したように思います。