アップルの2022年1-3月期の決算発表がありましたので、この記事で触れていきたいと思います。
1-3月期の結果は悪くなかったと思います。順風満帆ではありませんが、それでもまだアップルは新型コロナ以前よりも高い成長を続けています。
しかし、4-6月期に売上成長率が減速する要因がいくつか見られるとCFOが発言したことを受けて、株価は下がってしまったようです。
この記事のポイント
- アップルの1-3月期は一株利益も売上も予想を超える内容だった。
- 一方で、4-6月についてアップルのCFOは半導体不足や中国での新型コロナウイルスの混乱で売上が40〜80億ドルが影響を受けると発言。
- 4-6月の見通しの悪化から、決算発表後に株価は下落している模様。
予想を上回った決算
アップルの業績を見ていきますが、冒頭でもお話したように結果は良かったです。
- 一株利益:$1.52(予想$1.43)
- 売上:$97.28B(予想$93.89B)
まず、1-3月期の業績ですが、難なく予想を超える内容を発表しました。
一株利益も売上もギリギリ予想超えではなく、ある程度余裕を持った結果だったように思います。危なげなかったです。
単位B:10億ドル | 22Q2 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $97.3B | +9% |
営業利益 | $30.0B | +9% |
一株利益 | $1.5 | +9% |
今期の売上成長率は+9%にとどまって、また下のグラフを見ても成長率は大きな鈍化傾向が見られます。
しかし、冷静になって考え見ると、新型コロナ流行前の2010年代に苦しんでいた低成長期に比べれば、まだ成長率は高いと言えます。
iPhoneはやや売上鈍化か
今回の売上を製品別に見ても、(成長率は緩やかに鈍化していますが)おおむね前回の決算と同じでiPad以外はそこそこの成長率を記録しました。
ただ、売上規模の大きいiPhoneが成長率+5%にとどまるなど、やや苦戦している印象もありました。
- iPhone:スマートフォン
- Mac:ノートPCとデスクトップPC
- iPad:タブレット端末
- ウェアラブル&ホーム:AppleWatch(腕時計)、AirPods(ワイヤレスイヤホン)など
- サービス:iCould(クラウドサービス)、AppleMusic(音楽)、AppleNews(雑誌)、AppleArcade(ゲーム)、AppleTV+(動画)、ApplePay(電子決済)、AppleCare(製品保証)など
単位:10億ドル | 22Q2 | 構成比 | 前期比 |
---|---|---|---|
iPhone | $50.6B | 52% | +5% |
Mac | $10.4B | 11% | +15% |
iPad | $7.6B | 8% | -2% |
ウェアラブル | $8.8B | 9% | +12% |
サービス | $19.8B | 20% | +17% |
合計 | $97.3B | 100% | +9% |
4-6月期には供給制約
決算資料や電話会議の様子を一通りチェックしてみて、一番の注目が集まりそうな内容はアップルの4-6月期の業績についてだったと思います。
決算発表ではティム・クックCEOの後にCFOが業績を説明をしたのですが、その中で4-6月は部品不足などで生産ができずに売上40〜80億ドル分が影響を受けると発言しています。
4-6月期についてのCFOの発言を箇条書きにすると次の様な感じです。
- 4-6月期には(中国などでの)新型コロナウイルスの流行による製造業の混乱や業界全体の半導体不足で、アップルの製品供給能力に悪影響が出る。
- その規模は売上40億〜80億ドル相当で、この影響は1-3月期よりも大きい。
- 新型コロナの影響は中国の需要にも悪影響が出る。また、ロシアでの販売一時停止は前年比で売上1.5%分の成長率が失われる。
- サービス売上も二桁成長は維持できるが、1-3月期よりも減速する。
決算発表には4月はすでにほとんど終了しているので、上記の内容はすでに現実としてアップルで起こっていることが大半だと思います。
投資家からの4-6月の業績への期待値を今から下げ、次回決算発表でのネガティブなサプライズを回避しようとして、今の段階で発表されたようです。
今回1-3月期の業績ではまだそれほど悪くありませんでしたが、4-6月期は少し見通しが悪くなったアップルの決算だったと思います。
アルファベット(グーグル)やメタ(旧フェイスブック)などよりもアップルの決算のほうが内容は良かったと思いますが、アメリカの大手IT企業の決算でスッキリとしないものがかなり増えてきた印象があります。