コカ・コーラの決算発表がありました。端的に言って、とても良い業績でした。この会社は今絶好調だと思います。
2022年になってからはハイテク株よりも、コカ・コーラやP&Gなどの老舗企業の株のほうが好調なイメージがありますが、その株価に違わない業績でした。
決算発表後にも株価は上昇して、現時点で2022年の株価上昇は+11%になっています。
この記事のポイント
- コカ・コーラの2022年1-3月期は売上も一株利益も予想を上回る好決算だった。
- 売上+16%も営業利益+25%と二桁成長で、成長率は再加速をみせるなど好調さが見られる。
- 一方で、CEOはインフレによる原材料価格の高騰は続いており、今後はリセッションも起こりうるとの認識も示している。
好調だったコカ・コーラ
コカ・コーラの2022年1-3月期の業績を見たのですが、とても良かったです。
アナリストの予想は低くはなかったのですが、それを簡単に超えてくるような数字でした。
- 一株利益:$0.64(予想$0.58)
- 売上:$10.5B(予想$9.83B)
私は2013年からコカ・コーラ株を保有してきましたが、「本当にあのコカ・コーラの業績なの?」と目を疑ったほどでした。
いつものコカ・コーラは売上の伸びは前年比で一桁半ばなのに、今期は売上+16%、営業利益+25%とハイテク企業のような高い成長率を遂げています。
業績(10億ドル) | 22Q1 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $10.5B | +16% |
営業利益 | $3.4B | +25% |
一株利益 | $0.64 | +23% |
前回の決算発表の頃には「レストランやスタジアムの業務再開による売上成長率の押し上げ効果はしだいに薄れて、いつもどおりの低い成長率にゆっくりと戻っていくのかな」と思っていました。
(アナリスト予想の数字でも、売上成長率は緩やかな減少を予想してました)
しかし、今回のコカ・コーラの売上は予想に反して成長率が加速しています。これは良いサプライズでした。
私はコカ・コーラ株をそれほど多く持っているわけではないですが、昔から好きな企業の1つなので、今回のような好業績だと決算を見ていても楽しいです。
また、前回は一時的なマーケティング費用を計上して大きく営業利益が落ち込んでいましたが、今回は売上アップに伴って利益も大きく改善しています。
コカ・コーラの好調さを評価するには、買収や為替の影響を覗いた売上(オーガニックセールス)を見ると良いと言われていますが、このオーガニックセールスも+18%と好調でした。
決算発表コメントから
コカ・コーラの業績が良かったことを伝えましたが、決算発表では良かった要因だけではなく、今後の課題についても触れていたので、ここで拾いたいと思います。
課題はやはり原材料価格の高騰が続いていることで、コカ・コーラでもこのインフレ対応に追われているようでした。
- 今期は製品ポートフォリオで7%分の値上げが行われた。また、手軽なサイズのボトルで売上げアップを図った。
- 消費者はいつまでも高い価格を受け入れてくれるわけではない。このままではいつか高い価格への拒否が生まれる。
- アルミニウム、シロップ、プラスティックなどの重要な原材料で価格の高騰が見られる。
- 価格が高くなったとしても購買欲を持ってもらうために、さらなる強い製品ブランドの確立が必要。
ジェームズ・クインシーCEOは今回の値上げについて「リセッション(不況・景気後退)になった後に値上げをするよりも、今値上げしたほうが良いと判断した。」と言っており、時期は明確にしなかったもののアメリカや世界がリセッションに向っているという考えを、さも当然かのようにサラリと話しました。
ちなみに、このジェームズ・クインシーCEO(とその周りにいる右腕たち)は経済の流れを読むのにかなり長けているので、リセッションの可能性はかなり高いと思って良いと思います。2020年4-6月期の決算では、まだ世界で新型コロナウイルスがあと何年続くのかわからない状態にも関わらず「20年4-6月で業績の最悪期は脱した」と発言して当てています。
>>コカ・コーラCEO、最悪期は脱した【20年4-6月期決算】
やはり、企業のトップから見てもリセッションは避けられない状況のようです。