コンテンツへスキップ

今はドル高でも、年内にドル安に転じる恐れを警戒しています。

  • by

昨日の記事で、しばらくドル高が続くということを書きました。

このドル高ですが、ずっと続くという認識は持たないほうが良いと思っています。どんなに長続きしても多分2022年秋までで、冬の訪れを前に状況は変わっているはずです。

昨年から言い続けているように、アメリカの政策金利の引き上げが落ち着けば、今度は反対に長いドル安のトレンドになるリスクもあると思っています。

それが起こると日本の米国株投資家にとって脅威となります。

この記事のポイント

  • 2022年にドル高が続いているが、これはアメリカの政策金利の上昇を市場が織り込み終わるまで続く。
  • アメリカはインフレが著しいので、ドル高はそのうちドル安に変わる。
  • アメリカはロシアに対して決済ネットワークから締め出したりドル資産を凍結したことで、今後はアメリカと敵対する国でドル離れが進む。

市場が政策金利の上昇を織り込むまで続くドル高


昨日の記事では、2022年に続いているドル高の背景には「アメリカで加速する金利引き上げの動きを受けていること」、「市場に政策金利の引き上げが織り込まれれば、ドル高は止まると思っていること」の2点を書きました。

>>2022年、円安ドル高はいつまで続くのか(2022年3月28日)

そして、「市場が政策金利の引き上げを織り込み終わる」のは何を見ればいいかという方法については、10年国債の利回りから2年国債の利回りを引いた値が底打ちしたらという方法を紹介しています。

2005年以降の長短金利差とドルの関係

現時点では、10年国債の利回りから2年国債の利回りを引いた値は底を打っていないので、まだしばらくドル高は続くと見ています。

さて、ドル高は「しばらく」続くと言いましたが、これはどれくらいの期間のことでしょうか。

私のカンなのであまり当てにならないかも知れませんが、数ヶ月から半年のことだと思います。

アメリカで景気後退が近づいている時には、10年国債の利回りから2年国債の利回りを引いた値はたいていマイナスになるまで沈むのですが、現時点ではまだプラスを保っているのでドル安に転じるのは今すぐの話ではありません。

しかし、2022年に市場が予定している9回から10回の利上げは今のアメリカ経済も株価も耐えられないので、遅くとも秋頃には市場は政策金利の引き上げの織り込みを終えて、次の景気後退の金利引下げを考え始めるはずです。

なので、ドル高は数ヶ月から、長続きしても半年程度の動きだと思います。

その後のドル安に不安材料


米国株に投資している人間にとっては、その後にやってくるドル安のほうが気が気ではありません。

2021年からずっと心配しているのですが、アメリカインフレが長期化してドル安に動き始めたら、日本の米国株投資家にとって(円評価額で)大幅な資産減少になる恐れがあります。

>>米国株の投資で気になるドル安の心配(2021年12月7日)

さらに、2022年のウクライナ戦争が起こってから、以前のように通過基軸だから世界の国がドル資産を持つというシンプルな考えが当たり前ではなくなってきた気がします。

以前に以下の記事にも書きましたが、アメリカが戦争を始めたロシアへの制裁として決済ネットワークから締め出したり、ドル資産を凍結したことを世界の国は見ています。欧米と距離を取る世界の国は、ドル資産を持つと資産を差し押さえられる恐れがあるから、どこかでドル資産の一部だけでも売って別の何かに資産を変えたいと思っている国も少なくないはずです。

>>【詳細】ロシア侵攻後に起こった変化について(2022年3月14日)

というわけで、アメリカの政策金利が急速に織り込まれている今はまだドル高が続くものの、年内どこか(たぶん秋まで)にはドル安に転じる恐れがあると現段階で思っています。

ドル安への展開の兆しが出たら、ドルの現金や米国株の保有は少し軽くして、ドル安に強いゴールドや他の新興国株(長期投資目的のインド株など)に手を出すのが良いかも知れないと思っています。


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。