世の中はいろいろと動きがあった2月ですが、そんな中でアメリカの景気はまずまず好調をキープしているようです。
ISMが発表した製造業の景況指数は予想をわずかに上回って好調でした。
2021年の絶好調のときに比べるとアメリカの景気拡大はだいぶマイルドになりましたが、それでも1月から2月にかけてはわずかに再拡大をみせるなど、悪くない様子が見えてきます。
インフレ圧力もすでに2021年ほどではないので、時期に物価の伸びもピークをつけてゆるやかになるのだろうと思います。
この記事のポイント
- 2月もアメリカの景気は悪くなかった。2021年の絶好調時と比べると景気拡大の勢いはかなり落ちたが、まだ好調。
- 景気全体と同じようにインフレ圧力もまだまだ高いが、2021年から弱まっている様子が見られる。
- おそらくはそろそろ物価の伸びは鈍化し始めるはず。
全体的に好調だった2月のアメリカの景気
ISMが毎月発表しているアメリカ製造業の景気指数(景気の強さを数値化したもの)は、予想よりもわずかに好調でした。
- 予想:58.0
- 結果:58.6
ISM製造業指数という数字は、50を超えていれば景気が拡大していることを意味します。
少し前を振り返ると、景気後退(≒不況)が危ぶまれていた2019年ではISM製造業指数が50を下回る月も見られました。50台前半をウロウロしたり、50を切る月が見られたりしたら景気を危ぶむところですが、今月の58という数字はまだその域ではありません。
上のグラフを見ているとずいぶんとアメリカの景気が下がってきた印象はありますが、現時点で50を大きく超える58だったので、まだ景気は拡大を続けていると見て心配はいらなそうです。
まとめると、今のアメリカは「景気拡大のピークはすぎたが、まだ順調に景気拡大は続いている」と見て良さそうです。
前月からわずかに上昇
ISM製造業指数は、前月からはわずかに上昇しています。
内訳を見てみると、新規受注と受注残などが好調で伸びたなど、1月のアメリカでのオミクロン株の流行が落ち着いて景気が浮上した様子が見られます。
2月 | 1月 | 変化 | |
---|---|---|---|
新規受注 | 61.7 | 57.9 | +3.8 |
受注残 | 65.0 | 56.4 | +8.6 |
インフレ圧力はわずかに弱まった
1月から2月にかけてアメリカの製造業全体の景気は再浮上したのですが、一方でインフレ圧力は下がっているようにも見えます。
ISMが発表しているデータに「価格指数」という、製造業が原材料などで支払った価格のデータがあるのですが、こちらは前月よりもわずかに低下してます。
2月 | 1月 | 変化 | |
---|---|---|---|
(支払い)価格指数 | 75.6 | 76.1 | -0.5 |
数字を見ると70を超えているのでインフレ圧力はまだまだかなり強いと言えるのですが、一時期ほどの強さではない上に、全体の景気が強くなっても価格指数は下がる弱さも見られています。
2021年はISMの価格指数が上昇してアメリカの消費者物価も上がる現象が見られていたのですが、既に製造業の価格の伸びは緩やかになってきているので、物価の伸びもどこかでゆるやかになるのではないかと思っています。
どこかでアメリカの物価の伸びが緩やかになると言いましたが、その兆候はこれから数か月のうちに始まってもおかしくないはずです。
その後は、2021年末に言ったようにそこそこ高い物価の伸びが継続するのだと思います。