メタプラットフォームズ(旧ファイスブック)の決算が発表されましたが、結果はよくなかったと思います。
10-12月期の業績はイマイチ、1-3月期の見通しも低かったために株価は決算を発表してから20%超えで下落しています。
今回の決算期は、投資家は見通しの暗い株に対してはかなり厳しい株価の下落を浴びせています。
ネットフリックスの決算後にも株価が大きく下がりました。
今年は金融緩和の縮小を控えていて投資環境としては良くないので、成長が期待できない企業への見方は厳しい模様です。
この記事のポイント
- 10-12月期は利益が予想を下回り、前年比でマイナス成長に落ち込んだ。
- 利益が圧迫させている要因は、メタバース(仮想現実関連)の分野で営業赤字になっていること。
- 仮想現実の売上規模が大きくなるまで時間がかかる上に、1-3月期は様々な逆風が吹いている。
利益が伸び悩んだメタ
メタの2021年10-12月期の業績は良くありませんでした。一株利益は事前のアナリスト予想を下回る結果になっています。
- 売上:$33.67B(予想$33.44B)
- 一株利益:$3.67(予想$3.83)
単位B:10億ドル | 21Q3 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $33.67B | 20% |
営業収益 | $12.59B | -1% |
一株利益 | $3.67 | -5% |
まず売上を見ると、前年からの成長率が+20%でまずまずの結果を出しているようです。
たしかに前回の決算から成長率は落ちていますが、前年同期(2020年10-12月期:20Q4)が+33%も成長していたので、そこからさらに今期+20%も成長したのなら、それほど悪い数字ではありません。
問題は利益です。営業利益も一株利益も前年からマイナス成長では、一定の投資家が株の売却に動いても無理はなさそうです。
利益の鈍化は仮想現実分野での大きな営業赤字
利益が伸び悩んでいる原因ですが、私はメタバース関連(仮想現実VRや拡張現実AR)への投資が利益を圧迫させているのではないかと思っています。
今回の決算から、仮想現実関連の売上が「リアリティ・ラボ」という部門の売上として発表されるようになったのですが、この部門は全体の売上の3%に満たないのに、大きな営業利益の赤字を作っています。
- アプリ・ファミリー:フェイスブック、メッセンジャー、インスタグラム、ワッツアップなどのアプリからの売上。
- リアリティ・ラボ:仮想現実関連のハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ売上。
以下で、売上内訳を表にしましたが、リアリティ・ラボの売上はたった3%です。
セグメント | 売上 | 構成比 | 前年比 |
---|---|---|---|
アプリ・ファミリー | $32.8B | 97% | +20% |
リアリティ・ラボ | $0.9B | 3% | +22% |
合計 | $33.7B | 100% | +20% |
問題はリアリティ・ラボの営業赤字で、これが全体の利益を大きく押し下げています。
セグメント | 営業利益 | 構成比 |
---|---|---|
アプリ・ファミリー | $15.9B | 126% |
リアリティ・ラボ | -$3.3B | -26% |
合計 | $12.6B | 100% |
上の表を見るともしもリアリティ・ラボをやらなかったら、今よりも26%以上も利益が大きかったことになります。
これからも仮想現実関連への先行投資で赤字の時期が続くことを考えると、今後もメタの利益成長はあまり期待できなさそうです。
低調な業績見通しとその原因について
この会社は社名がフェイスブックだった時代から業績見通しを低く発表することで有名でしたが、次の1-3月期も業績はあまり良くないと見ているようです。
- 1-3月期売上見通し:前年比+3%〜+11%の$27B〜$29B(予想:$30B)
CFOのコメントを読むと、メタの経営陣は次のようなことを心配しています。
- 競合との競争
- 自社のアプリの中で広告効果の低いタイプの動画視聴が増える傾向が見られる。
- 2021年のiPhoneのセキュリティ強化機能によって、効果的な広告を打てなくなった影響が続く。
- 2021年の業績が良かったので、2022年は成長率が鈍化する。
- インフレで世の中の企業の利益が減り、メタに払う広告費が減少する。
少し細かい話になりますが、「自社のアプリの中で広告効果の低いタイプの動画」というのは、リールと呼ばれる視聴時間の短いタイプの投稿動画のことです。
リールの視聴回数は伸びているものの、フェイスブックやインスタグラムでよく見られるフィードやストーリーズにくらべて収益率がまだ低く、改善が必要なようです。
それに加えて、前回の決算でも触れたiPhone(iOS)のセキュリティ機能対応もあるので、メタの利益が伸びるにはまだ少し時間がかかるかもしれません。
今回の決算でメタの株価は大きく下がりましたが、株価が浮上するような良いニュースが生まれる兆しはあまりありません。
株価は既に魅力的な水準になってきましたが、株価が浮上する兆しがほとんど見えないので、今この株を買えるのは買ってから数年間は放置できるような投資家だけだと思われます。