クレジットカードなどの決済で有名なビザの決算があったので、振り返っておきます。
2021年10-12月期の業績は良かったです。旅行や出張などで発生する国際間決済は新型コロナウイルスが流行時で大きなダメージを追ってしまいましたが、今期もその回復が見られました。
また、ビザ株を保有していない投資家でも注目をしたいのは、2月以降に新型コロナウイルス(オミクロン株)の流行が落ち着けばさらなる海外への人の移動がおこるとビザが発言していることです。旅行関連銘柄の業績が上向く機会が近づいている印象です。
アメリカ国外での消費は回復が望める一方で、アメリカ国内の消費は少し心配です。ビザのデータを見ていると12月から1月にかけてアメリカでの消費のペースが落ちているように見えます。
これはビザ1社の懸念材料というより、アメリカ全体の景気の心配事になりそうです。
この記事のポイント
- 2021年10-12月期のビザは売上も一株利益も予想を超える好業績だった。
- 国際間決済の金額が回復している様子が見られた。2月以降にコロナの流行が落ち着けば今後さらに回復が見込めるため、ビザだけでなく旅行関連銘柄にチャンスがありそう。
- 一方で、アメリカ国内の消費の伸びが鈍化している点は気がかり。アメリカの景気の行方が心配される。
好業績を残した10-12月期のビザ
ビザの2022年第1四半期(2021年10-12月期は、売上も一株利益もアナリスト予想を上回る好調なものでした。
- 売上:$7.06B(前年比+24%、予想$6.79B)
- 一株利益:$1.81(前年比+27%、予想$1.70)
売上の前年比+24%はビザとして悪くない数字です。
下図の通り、この3回の決算では売上成長率がかなり安定して高くなっています。
営業利益をみても、売上同様に高い成長をしています。
新型コロナウイルスが流行してから国際間決済の取引金額が大きく落ち込んでいたのですが、だいぶ回復してきたようでビザの成長を手助けしています。
上の図のように国際間決済は3四半期連続で大きな回復をしたため、ようやくコロナ前の2019年の業績を上回るところまで来たようです。
ビザの決算で気になったこと
今回のビザの決算で気になったのは、次の2点です。
- (1)2月に新型コロナの規制解除される国や地域が出始めれば、旅行の再開・回復が予想しているとビザが発言したこと。
- (2)21年12月以降、アメリカでの消費のペースが落ちていること。
まず1つ目の(1)については、新型コロナウイルスの話題です。
2021年は予想を上回る早さで人々の海外への旅行が再開し始めたとビザは振り返っていましたが、それでも2021年の年末は世界的なオミクロン株の影響を受けて旅行は下火になっていました。
ただ、ビザの予想では2月にも新型コロナウイルスの規制が解除される国や地域が出て、旅行の回復が再開されると言います。
同じ話はデルタ航空の決算でも聞かれました。既にアメリカではオミクロン株の流行はピークを打っていることから、2月の旅行再開の可能性は高いと思います。
>>投資の良い機会が訪れているデルタ航空【21年10-12月期決算】
もちろん、旅行の再開を期待してビザやマスターカードの株を買っても良いのですが、航空会社など業績がまだ戻っていない企業の株のほうが伸びしろは大きいかもしれません。
アメリカ国外での消費は回復が見込める一方で、心配なのは(2)アメリカ国内の消費です。
以下はビザが発表したアメリカ国内での決済金額の伸び(前年比)の推移なのですが、12月から1月にかけて成長が鈍化しています。
この時期はたしかにオミクロン株がアメリカで流行した時期ではあるのですが、デルタ株などの流行時にはこれほど決済金額に影響が出ませんでした。
また前年の1月を思い出すとアメリカ政府が現金給付を行った時期でもあるので、前年の決済金額が大きかったために成長率が小さく見えているだけかもしれません。
これだけではよくわからないので、別のデータを拾いながらアメリカの消費が落ちていないか確認する必要がありそうです。
ちなみに、12月以降のアメリカの消費については別の記事で詳しく扱いたいと思いますが、だいぶ悪いデータも出ているので少し注意が必要です。