少し前に2021年第4四半期のアドビ決算が発表されているので、この記事で振り返っていきたいと思います。
この記事のポイント
- 2021年第4四半期のアドビは、売上も一株利益もアナリストの予想を超える好業績だった。
- しかし、今後の業績見通しがかなり低調だったために決算発表後に株価が大きく売られた。
- 最高値からはだいぶ安くなったが、2022年は成長が鈍化することや利上げで割高な株に逆風が吹くことを考えると今のアドビ株は買わなくて良さそう。
好調だった2021年第四半期のアドビ
今期のアドビの業績は好調だったと思います。売上も一株利益も事前のアナリスト予想以上の数字でした。
- 売上:$4.11B(予想$4.09B、前年比+20.2%)
- 一株利益:$3.30(予想$3.30)
2021年のアドビは毎回の決算で売上が前年比+20%を超えていたのですが、今期もちゃんと+20%に乗せてきました。
この「+20%」という数字は後で、また触れるので少しの間覚えておいてください。
また下の図はアドビの営業利益の変化をグラフにしたものですが、こちらも高い成長が続いています。
売上も営業利益も成長率に少しかげりがみられますが、今回のような成長率が続くなら文句をいう株主も多くないと思います。
セグメント別でも安定した成長
アドビには2つの部門(セグメント)があるのですが、2つとも今期は安定した成長をしていました。
2020年は売上規模の小さいデジタルエクスペリエンス事業で成長率の鈍化が見られましたが、2021年は復調したことも良いと思います。
弱かった業績見通し
ここまではアドビの決算で良かったところを中心に話をしましたが、今回の決算で決定的に良くなかった箇所が1つありました。
来期の業績見通しです。
業績見通しは売上も一株利益も予想を下回る内容でした。
- 22年1Q売上見通し:$4.23B(予想$4.34B)
- 22年1Q一株利益見通し:$3.35(予想$3.39)
「売上見通しが$4.23B」と言われてもピンとくる人は多くないと思うので、アドビの業績見通しがどれだけ控えめだったかを次のグラフで見てみたいと思います。
もしも次の決算がアドビの発表通りの売上しか達成できなかった場合には、売上成長率はわずか+8%にとどまってしまいます。
2021年は1年間ずっと売上成長率が+20%(前年比)を下回らなかったという話を先程しましたが、それに比べるとかなり物足りない印象があります。
前年の数字が高かったせいもあるのですが、これからは成長の急減速が起こるようです。
決算後に下落したアドビ株
2021年第4四半期の業績は良かったのですが、来期の業績見通しが低かったために決算発表後に株価は売られてしまいました。
既に最高値から20%以上もアドビ株は安くなっているのですが、それでもまだ私はあまり買う気にはなれません。
予想PERという割高感をはかる指標を見ると、今もまだ割高だと思うからです。
PERが高く割高であっても高い成長率が続くなら、株価は下がる心配はありません。
しかし、アドビの予想PERの38という数字は、利益の成長率10%程度の株価がつける数字としては高すぎます。
その上、2022年はアメリカで政策金利の引き上げが予定されているので、割高な株には強い下落圧力がかかるはずです。
アドビは定額制ビジネス(サブスクリプション)の割合が9割を超える安定した業績で良い企業ですが、これから投資する銘柄としては難しいタイミングに来ていると思います。
最後に今回のアドビの決算を見て改めて気づいたことなのですが、2021年に業績が急成長した株は「2022年は成長の鈍化」と「金利の上昇」という2つの逆風が吹いて、株価は苦戦するのだろうと感じました。