こないだ10月のアメリカの個人消費が発表されたのですが、かなりの好調でした。
少し前に公表された10月の小売売上高がとても好調だったので、同じ月の個人消費も好調だろうと思っていたのですが、やはりと言う感じでした。
>>好調だった10月のアメリカの小売と、それが長続きしない理由。
10月のこととなると既にかなり前の印象がありますが、とにかく10月はアメリカは消費もインフレも高い伸びを見せた1ヶ月になったようです。
正直言うと、10月の個人消費のデータから新しい発見は多くないのですが、この記事では10月の個人消費の数字を確認していきます。
この記事のポイント
- 10月のアメリカは物価の伸びも大きかったが、個人消費の伸びも大きく景気は強かった。
- ただし、この強い個人消費はそれほど長く続かないかも知れない。コロナ流行時に増えた個人貯蓄は既にコロナ前の水準に戻り、余剰分は多くない。
好調だった10月の米個人消費
10月の個人消費の伸びは好調でした。
物価の伸びも含めた(名目の)個人消費の伸びでは前月比・年率で+17%も伸びています。
「前月比・年率」という言葉にピンとこない方もいるかも知れませんが、このペースが12ヶ月続けば個人消費の伸びは年間+17%伸びるという高い数字です。
ただし、個人消費の数字の伸びが大きく見えているのは、アメリカで物価が勢いよく伸びているからでもあります。
個人消費が伸びていたとしても物価が上がっているだけだとしたら全く嬉しくないので、物価の影響を除いた(実質の)個人消費もちゃんと伸びていることを確認してみます。
物価の伸びを除くと10月の個人消費は年率+8.7%まで大きく下がってしまいますが、下がった後のこの数字でも十分な成長をしています。
最近では8月にも同じく(実質)年率+8.7%の高成長をしていましたが、10月はそれ以来の高い個人消費の伸びでした。
以上のことをまとめると、次の2点が言えると思います。
- 物価の変動を含む(名目の)個人消費は、10月に大きな伸びを見せている。
- 物価の上昇もかなり大きいが、実質の個人消費も10月に大きく成長している。
貯蓄はコロナ前の水準に戻っている模様
このブログでは既に何度か言っていますが、今回のような高い個人消費の伸びはそれほど長くもたないと思っています。
2021年は新型コロナが流行時に蓄えてた貯蓄を取り崩して消費にまわしていましたが、アメリカの個人の貯蓄は既にコロナ前の水準に戻ったからです。
これからも強い消費を続けようと思うと、コロナ前の通常時にまで戻った貯蓄をさらに取り崩す必要があります。
まだ数か月はこの強い消費を続けられるかもしれませんが、段々とふところが寒くなれば財布の紐も固くなるのが自然だと思います。
10月の主な経済指標の発表も今回の個人消費が最後になり、あと数日たって月が変われば、11月の景気のデータが続々と入ってくるようになります。
11月もまだ景気はそこそこ強いと思いますが、どこで変調が来るのかを注意してみておきたいと思っています。