クレジットカードでもおなじみのVisaですが、最近は少し値を下げて株が買いやすくなっています。
もちろん理由があって下げているのですが、いくらか買いやすい株価に戻ってきた印象があります。
この記事のポイント
- Visaの株価は2021年7月の最高値から20%も安くなっている。
- 最近下がっている主な理由は2点、コロナからの業績回復が思っている以上に時間がかかりそうなこと。また、Visaの手数料が高いことを理由に、イギリスでアマゾンがビザのクレジットカードの支払い受付を停止すると告知していること。
7月の最高値から20%下落したVisa
まず、最近のVisaの株価の下落を確認してみます。
7月には最高で250ドルまで上がっていた株が、最近では200ドルまで下がっています。
最高値からの下落率は約20%も安くなっている状態です。
この下落の前のVisaはかなり高かったのですが、いくらか買いやすい株価に戻ってきた印象があります。
最近の下落の原因について
なぜVisaは大きく株価を下げているのかを見てみると、最近の気になるニュースがいくつか見つかります。
- (1)決算発表で保守的な見通しを示した。コロナからの業績回復が想定よりも遅れる心配が出ている。
- (2)アマゾンがVisaの決済手数料が高いことを理由に、イギリスでの支払い受付を停止すると告知。
直近1ヶ月のVisaの株価のチャートに上の2つのイベントを重ねると、ちょうどこの2つのタイミングで株が下がっていることがわかります。
癒えないコロナの傷跡
一つ目の下落要因になっているのは、保守的な業績見通しです。
コロナからの業績回復が遅れる懸念が決算発表で出ていることです。
具体的には、コロナで国外旅行でのVisaカードの利用金額が大きく落ち込んでいますが、2023年夏にならないとコロナ前の2019年の水準にまで回復しないという見解がVisaから出されました。
以下は、決算資料にあった国外旅行の利用金額(2019年比)のグラフですが、他のカード利用用途に比べて国外旅行はまだまだ回復の道半ばです。
アマゾンの決済受付停止
もう一つの下落要因は、アマゾンがイギリスでのVisaの決算の受付を2022年1月から停止すると発表したことです。
ウォール・ストリート・ジャーナルなどの報道では、ビザの決済手数料が高いことが背景にあると伝えています。
ただ、この影響はどれくらい深刻なのかイマイチよくわかりません。
Visaにとって、決済手数料を巡って小売店と揉めることはそれほど珍しい話ではありません。
2016年にはカナダのウォールマートと揉めたこともあり、それ以前にはスーパーマーケットのクローガーに一時的に決済受付を停止されたこともありました。
今回のアマゾンの件がどのような展開になるかはわかりませんが、深刻さを増すだけではなく、意外にもすんなり和解することもありえます。
さいごに
この記事では、Visaの株価が最近安くなっているという内容を書きました。
特にこの1ヶ月は(1)コロナからの業績回復が遅れる懸念と、(2)英アマゾンの決済受付の停止の影響を受けて、ズルズルと株価が下がっているようです。
ただ、長期的に見ればコロナからの業績回復はいずれ達成すること、アマゾンの決済受付停止についても思ったほど悪影響が及ばない可能性もまだあるので、実は今の株価下落は買いのチャンスかも知れません。
Visaは長期的に安定した成長が見込める銘柄なので、本来なら今のタイミングでVisaを買うなら長期保有を前提に買いたいところです。
しかし、少し気になるのは、今後数年の米国株全体の動きです。
以前に以下の記事でも書いたように、今のタイミングで長期投資を急いでしなくても、そう遠くない将来に長期投資銘柄を安く変えるタイミングがくる気がしています。
>>【関連記事】中長期の米国株投資家にとっては、すでに注意が必要な時期に来ている。
今のタイミングでVisaを買うかどうかは、もう少し悩みたいと思います。