先日の記事で、アメリカの製造業の需要が弱まっていると書きましたが、一方でサービス業のほうはまだ好調のようです。
少し驚いたのですが、2021年10月のISM非製造業指数(サービス業の景気の強さ)を見てみると、過去最高を記録していました。
私はアメリカの景気はこれから急減速すると見ていたのですが、少し見方を変えないといけないかも知れません。
景気はまだ強い、しかし、インフレもまた強いという見方をしたほうが良さそうです。
この記事のポイント
- 2021年10月のアメリカのサービス業はかなり好調だった。
- 新規受注や受注残が伸びて、需要が回復している様子が見られた。
- ただし、製造業と同じように仕入価格は上昇している。11月10日発表の消費者物価は前月よりも上昇するかも知れない。
意外にも再び最高値を記録した米サービス業の景気
毎月ISMは企業に景気に関するアンケート調査を行い、結果を数値化して発表しています。
先日の製造業の発表に続き、サービス業(非製造業)の結果も出たのですが、予想をかなり上回り、過去最高値を記録しました。
- 予想:62.0
- 結果:66.7(前回:61.9)
これは先に発表された製造業とは、見えている景色が少し異なります。製造業の景気は以下の図のように高値圏をキープしているものの、2021年3月をピークに景気拡大は鈍化傾向にありました。
また、10月の製造業のデータを詳しく見てみると、新規受注のペースが鈍化していたりと需要の勢いが弱まっている様子も見られました。
>>【詳細記事】強いインフレ圧力と需要の伸びの鈍化が見られるアメリカ製造業
一方で、最高値をつけたサービスの需要はまだ勢いよく伸びているようです。
10月には新規受注や受注残も増えて、需要も高まっています。
ただし、製造業との共通点も見られるのは、インフレ圧力の強まりです。必要な物資の調達にはより時間がかかるようになり、仕入価格も上昇を続けています。
ここまでを整理すると、アメリカの製造業は景気拡大の勢いが和らいでいる一方で、サービス業はまだ強い景気が続いています。
ただし、その景気に逆風となるインフレもまた勢いを増しているようです。
アメリカの現時点の景気の見方
2021年10月のアメリカのサービス業の景気をデータで見ていきましたが、結果は歴代最高値でかなり良かったです。
コロナが流行っている時期にはモノの消費が続きましたが、感染拡大が落ち着き始めて、モノからサービスへと消費者先が変化しているのかも知れません。
実は、少し前まで私はアメリカの景気はこれから急減速すると見ていたのですが、その見方は少し間違っていたのかも知れません。
「アメリカの景気は強い状態が続いている、しかし、景気に逆風となるインフレもかなり強い状態が続いている」という見方のほうが良いかも知れません。
景気は強いのですが、その一方でインフレ率もかなり高いので、インフレ率を差し引いた(実質)GDP成長率を見ると、成長が鈍化して見えるようです。
>>【関連記事】2021年第3四半期に減速を見せた米GDP成長率(10月31日)
10月のアメリカは製造業・サービス業ともに良かったので、次に気になるのは「雇用」と「インフレ率」です。特に、市場の投資家が警戒しているのはインフレ(消費者物価)のほうだと思います。
試しにいくつかのパターンで今後のアメリカの消費者物価をシミュレーションしてみましたが、来年2022年前半までは高いインフレ率が続きそうです。