自動車への関税について、トランプ政権が真剣に検討をしているとウィルバー・ロス国商務長官が発言している記事をあげましたが、実は多くのメディアでは、このニュースはそれほど大きく取り上げられていません。
米商務長官、全ての輸入自動車への関税を真剣に検討していると言及。
というのも同日、このウィルバー・ロス氏は6月28-29日で大阪で行われるG20での中国との会談で上げる成果についてのコメントをし、そちらのほうが話題になっているからです。
G20首脳会談では貿易協議の成果は合意ではなく、今後貿易協議を再開することの表明で終わるだろうとウィルバー・ロス氏が発言し、協議で合意に達する期待値を予め引き下げる発言だとして注目を集めています。
もし、ウィルバー・ロス氏の言う通りに協議再開の宣言だけで会談が終わり、合意に至らない場合、トランプ大統領が事前に発言したようにG20後に追加関税が発動することになります。
I think the most that will come out of the G-20 might be an agreement to actively resume talks.(…).The most that might come is new ground rules for discussion and some sort of schedule for when detailed technical talks might resume (Commerce Secretary, Wilbur Ross)
貿易協議の再開を合意することがG20の主な成果になると、私は思っています。協議の新たなルールや、詳細な検討会議がいつ再開されるかのある種のスケジュールが発表されるかも知れません。(ウィルバー・ロス国商務長官)
協議再開から合意までのスケジュールですが、10か月以上かかる可能性があるとも警告しています。
このブログでは、かなり早い段階から、G20での貿易協議の合意は難しいと話をしてきましたが、どうもその線が濃厚になってきた模様です。また、ウィルバー・ロス氏も必要な状況になれば、G20の会談後に関税をかける用意は既にできていると言います。
もしかすると、10ヶ月以上続くと言われる協議の間、関税発動を延期する可能性もまだ無くはないですが、どうなることかG20の結果を見守りたいと思います。
G20での米中会談を巡る発言推移
- 6月10日:中国外務省、G20首脳会議での習近平主席とトランプ大統領の会談の可能性について発言することは何ないと発言(ロイター)
- 6月10日:トランプ大統領、G20首脳会議で習近平主席が会談に出席しないなら、即、関税引き上げると、習近平を引きずり出す発言。(CNBC)
- 6月11日:中国外務省、米国が貿易摩擦を激化させたいのであれば、中国政府は断固たる決意で対応すると表明(ロイター)
- 6月11日:中国外務省、米国が貿易摩擦を激化させたいのであれば、中国政府は断固たる決意で対応すると表明(ロイター)
- 6月15日:トランプ大統領、G20首脳会議での米中協議で習近平国家が参加するかどうかは問題ではないと表明(CNBC)
- [NEW]6月17日:ウィルバー・ロス商務長官、G20の成果は協議再開にとどまる可能性が高い。合意は10ヶ月以上かかる恐れあると認識示す。