9月のアメリカの消費者物価が発表されました。
今月の発表は大きなサプライズはなかったと思います。
9月の消費者物価は予想をよりもわずかに上回りましたが、前月から比べて大きな変化はありませんでした。
私は今後のアメリカで消費者物価が上昇するなら「住宅費(Shelter)」の動向がポイントになると思っていますが、今月も住宅費の物価上昇は大したものではありませんでした。
もしもこの項目が上昇すると、消費者物価は再び目に見えて上昇をはじめるはずです。
そうなるとFRBが慌てて金融緩和の縮小を急ぎ、株価も大きく下がることにもなりかねないので、来月以降も警戒して見ていきます。
この記事のポイント
- 9月の消費者物価は予想よりもわずかに上昇幅は大きかった。前年比で5%を上回る物価上昇が続いている。
- しかし、既に前月比では既に物価上昇のピークは超えている。このまま上手くいけば、FRBや市場の言う通り物価は一時的に終わる。
- 大きなリスクは住宅費(Shelter)の上昇だが、まだ始まっていない。もしも住宅費が上がると消費者物価は再び上昇し、株が大きく下がる恐れがあるので注意している。
一時期の勢いはなくなった物価上昇
9月の消費者物価はわずかに予想をわずかに超えましたが、ほとんど予想通りに結果でした。
- 前月比:0.4%(予想0.3%)
- 前年比:5.4%(予想5.3%)
上の数字の見方ですが、物価は高すぎても低すぎてもダメだと言われます。
だいたい前年比で2%前後が望ましいと言われているので、今の5%を超える消費者物価はかなり大きな数字だと言えます。
しかし、毎月の物価上昇(前月比)を見てみると、2021年の半ばに見られたような物価上昇のペースは和らいでいるように見えます。
もしも、これから毎月0.2%(年率2.7%)や毎月0.3%(年率4.3%)のペースで上昇が続いた場合には、消費者物価は次のように変化します。
恐らくですが、今のFRBや市場の投資家は上の図のような物価の動きをイメージして「物価は一時的」と言っているようです。
彼らの言う一時的という言葉がだんだんと長期化しているのは気になりますが、上の図の0.2%ペースが続くなら、確かに物価は2022年末には2%に向かって下がっていきます。
今後の警戒ポイントは住宅費
ただ、私はまだ物価は再度上昇する余地があると思って、警戒を緩めていません。
先月の記事から書いているように、アメリカでは住宅の資産価格が上昇しているのに、消費者物価で集計される「住宅費」の項目の上昇がまだ見られていないからです。
データを確認してみると、アメリカの住宅費は右肩上がりに上昇しています(前年比で約20%)。
しかし、消費者物価で計算されている「住宅費(Shelter)」の項目は、前年に比べてわずかに3%しか伸びていません。
住宅価格に比べて家賃は上昇するまでに時間がかかることを考えると、これから毎月の消費者物価の「住宅費(Shelter)」の項目が大きく上昇する可能性は高いと思います。
そして、この項目は上昇すると消費者物価全体に大きなインパクトを与えます。
なので、私は「住宅費(Shelter)」の上昇をきっかけにアメリカの消費者物価が再び急上昇する恐れがあると思って、警戒しています。
住宅費が上昇した場合の影響
さて、「住宅費(Shelter)」が上昇した場合には、何が起こるでしょうか。
中央銀行FRBの役目の一つは物価の安定なので、住宅価格の上昇を抑えようと金融緩和の縮小を急ぐと思われます。特に、政策金利の上昇は住宅ローンの上昇を通じて、住宅ブームの過熱を冷やすのに効果的です。
なので、FRBがいち早く物価を安定させたいなら、予定よりも早く政策金利の上昇を検討するはずです。
ただ、困ったことに政策金利の上昇は米国株を冷やすのにも効果的です。
私は2021年10月時点では投資先としてまだ米国株は伸びしろがあると思っていますが、政策金利の引上げが前倒しされるなら話は別です。その際は、投資先の変更を考えなくてはなりません。
だから、消費者物価の「住宅費(Shelter)の上昇には気をつける必要があると思っています。