2021年の前半は、「2021年後半から景気が力強く回復し、2022年もその勢いが続く」と考えていました。
でも最近の状況を見ていると、これからのアメリカは思っていたよりも景気はあまり良くないのだろうと思います。
実際には予想していたよりも早めに景気回復が始まりましたが、困ったことに予想よりも早くアメリカの景気拡大の勢いが弱回っているように見えます。
この記事のポイント
- 2021年3月からアメリカの個人消費はあまり伸びていない。
- アメリカのGDPの大半を占める個人消費が伸びないと、GDP成長率は小さくなる。
- ひょっとすると2022年にも再び現金給付を望む声が出る。それならGDP成長率は一時的に上昇するが、さらにインフレを起こす副作用に注意が必要。
2021年第2四半期まで順調に回復したアメリカ経済
まず、この記事を書いている時点で発表されているアメリカのGDP成長率を確認します。
2021年のアメリカはとってもとっても景気が良く、GDP成長率が6.7%ものペースで景気が拡大しています。
コロナ前のGDP成長率が2%前後だったことに比べると、急成長していることがわかります。
さすがに+6.7%もの成長を続けるのは難しく、この経済成長率はこれから緩やかになっていくようです。
9月の開かれたアメリカの金融政策を決める会議(FOMC)で発表された見通しを見ても、GDP成長率が緩やかになっていく様子が描かれています。
これからGDP成長率が急減速する要因
ここまでの話を聞いていると、年々少しずつ景気拡大のペースが緩やかになっていくような印象を受けます。
しかし、私は次の四半期でもGDPの成長が急減速したり、上のグラフで見たGDP成長率予想がこの先に下方修正される恐れもあると思っています。
その理由は、最近のGDP成長率はアメリカの個人消費に支えられていたのに、今ではその個人消費の伸びがなくなっているです。
2021年のGDP成長率は個人消費だのみ
アメリカ政府の詳しい発表を見てみると、2021年のアメリカのGDP成長のすべてが個人消費によるものでした。
6.7%の成長率のうち7.9%分は個人消費によるもので、その他のすべての項目はマイナス成長でした。つまり、もしも個人消費が全く伸びていなかったらGDP成長率はマイナスになるほどでした。
個人消費はすでに伸びていない
そして、問題なのは、2021年第3四半期でこの大事な個人消費の伸びがほとんど止まると予想されることです。
GDPと違って個人消費は毎月データが発表されるのですが、それを見ると実は2021年3月から個人消費は伸びていないことがわかります。
これを見る限り、個人消費にGDPを押し上げる力はすでにありません。
そうなると少なくとも次の2021年第3四半期は個人消費以外でGDPを押し上げる必要がありますが、先ほどの2021年第2四半期の様子を見ているとあまり期待はできません。
なので、2021年第3四半期の経済成長は伸びが多く鈍化して、この流れが続くと2022年以降も予想が下方修正されるかもしれないと思っています。
さいごに
この記事では、今まではアメリカのGDPは高成長を続けてきましたが、これからは急速に鈍化するかもしれないという話をしてきました。
そうなると、もしもここで話した通りに2022年の景気が予想以上に弱くなる場合ですが、次に来るのは何でしょうか。
私の予想では、もう一度何かしらの理由をつけてアメリカで現金給付を望む声が起こる気がしています。
2020年のコロナの不況を乗り切る手段として現金給付はあまりにもうまく行き過ぎました。
人々は懐が暖かくなり、議員たちもお金を巻きつつ支持を得ることができるので、現金給付を踏みとどめるのは政府の赤字の拡大を防ごうとする規律くらいです。
そして次の現金給付が実現した場合には、代償としてインフレ率が今以上に上昇すると思います。
今は景気の減速でインフレ圧力は弱まっていますが、どこかで再びインフレで恩恵を受ける資産(コモディティ、ゴールド、石油株など)への投資が必要になるかもしれません。