9月20日の市場ですが、世界のあらゆる株価は多かれ少なかれ下落をしています。
下落幅は年に何回も見るような規模で、決して今日が特別大きな下落を経験しているわけではないのですが、投資家は中国の不動産会社の中国恒大が積もりに積もらせた負債がどうなるのかを心配して、リスク回避の動きを見せているようです。
中国恒大の負債の問題をまとめたニュース記事は既に世の中にたくさん出ているので、問題の詳細はそちらに任せるとして、この記事ではこの件について考えたことをツラツラと書いていきます。
この記事のポイント
- 中国恒大は数十兆とも言われる負債を抱えており、期日に返済できない恐れが高いと見て、投資家は警戒感を高めている。
- 米国株も下げているが、個人的には米国株への影響はまだそれほど心配していない。
- 大きく株価を下げる可能性があるのは中国株。大きく下げた場合には投資家にとっては投資のチャンスを意味する。
中国の不動産企業の返済問題にダウも下落
多額の返済のやりくりに苦しんでいる中国の不動産会社(中国恒大)の問題に、投資家の関心は高まっているようです。
今週は中国恒大が借りている融資や社債の利払い期限を迎えるものが一部あるためか、週明けの9月20日の香港株式市場は大きく下落しています。
2021年は中国株が不調でも、米国株はほとんど関係なく上昇していることが多かったのですが、今回は米国株の投資家も注目しているのかリスク回避で株は売られているように見えます。
リスク回避の動きを見せる投資家
あくまでも私の考えですが、米国株の下落はまだ気にするような規模ではないと思っています。
たしかに過去50日の平均株価(50日移動平均線)を下回って調子を崩しそうな展開ではありますが、このようなことは年に何回か見られるので、それほど珍しいものではありません。
50日移動平均をしばらく下回ると10%程度の株価の下落にはなるのかもしれませんが、今まで2021年は目立った下落がほとんどなく9月まで来たことを考えると、この程度の売りは自然の範囲なのだろうと思います。
警戒をさらに強める一つの目安となるのは、200日移動平均までも下回ってしまった場合かもしれません。
過去の200日平均を下回ったタイミングを下のリストにいくつかあげましたが、こうなると1年に1回あるかないかの下落になるので投資家の緊迫感が増すと思われます。
- 新型コロナウイルス流行時の下落(2020年2月)
- 米中貿易協議の難航と追加関税の発動(2019年6月)
- 市場も予想していなかった政策金利の引き上げで株価下落(2018年12月)
中国株は大きな下落に警戒
問題があるとすれば、心配なのは中国株です。
中国恒大が負債を返しきれない場合には、お金を貸した債権者も損を被ることになり、その損を埋め合わせるために株、社債、不動産などの幅広い中国の資産が売られやすくなるはずです。
今回の中国恒大の返済問題を「中国版リーマンショック」と呼んでいる人もいるようですが、リーマンショックのように幅広い市場に大きなショックを与えるのかどうかは、幅広い資産の売却がどこまで進むか、第二・第三の中国恒大のような企業が出てくるかにもよるので、私にはどうなるかは分かりません。
ただ、投資家があらゆる中国の株や債権を投げ売る展開が、もしもやってくるのなら、それは株を安く買うチャンスです。
投資家のハワード・マークス氏は「市場サイクルを極める」の中で、リーマンショックがあった2008年と株価が安値をつけた2009年前半について振り返って、このように言っていました。
2008年末から2009年初頭にかけての時期に、巨額の利益をあげるために必要なものは、たった二つしかなかった。投資するためのカネと、それを投じる度胸だ。その二つさえあれば、その後数年間で大儲けできただろう。
「中国版リーマンショック」というのは煽るような表現になるので、私はこの言葉をあまり使いたくありませんが、もしも大きな下落があればリーマンショックの教訓を活かせる場になると思います。