少し前に、クレジットカードで有名なビザの2021年4-6月期(21年第3四半期)決算が発表されましたが、結果は予想していたよりも良かったです。
ただし、業績は順調に回復していますが、「既にコロナの不調から完全復活した」と言うにはまだ早そうです。
前年の2020年が新型コロナウイルスの影響でかなり低迷していたために成長率はかなり高くなっていますが、2年前の2019年同時期の売上と比べるとまだ5%ほどしか伸びていません。
海外での旅行や出張などでの国際決済がまだ低迷している状態で、これが回復するのはまだしばらく先のことになりそうです。
この記事のポイント
- 21年4-6月期のビザは予想を上回る良い内容だった。売上も利益も5四半期ぶりに前年比でプラス成長に戻った。
- 前年はパンデミックで業績が悪化していたこともあって、前年比の成長率は大きく改善した。
- しかし、2019年比で売上を見て見ると2年前からわずか+5%上回る水準にすぎない。まだパンデミックの爪痕は残っている。
5四半期ぶりのプラス成長
4-6月期のビザの売上も一株利益も予想を上回る良い内容でした。
- 売上:61.3億ドル(58.6億ドル、前年比+27%)
- 一株利益:1.49ドル(予想1.35ドル、前年比+41%)
この企業は毎回予想を超える結果を残してきますが、今回も安定の予想超えでした。
売上は+27%、一株利益で+41%と大きく成長できています。
単位B:10億 | 3Q21 | 前年比 |
---|---|---|
売上 | $6.1B | +27% |
営業利益 | $4.1B | +35% |
調整後一株利益 | $1.49 | +41% |
また、今回で売上も利益も5四半期ぶりに前年比でプラス成長に返り咲いたのも、好印象でした。
パンデミックの爪痕はまだ残っているビザ
ただし、21年4-6月期の成長率が大きくなっているのは前年の低迷が大きかったからで、ビザは新型コロナウイルスによる業績の悪化から完全に復活したわけではなさそうです。
ためしに、パンデミック前の2019年度の同時期と比べたビザの売上成長率を見てみると、今期は2年間で5%分しか売上は成長していません。
2019年までのビザの売上成長率は少なくとも10%は軽く超えていたので、パンデミックがなければ2年間で20%以上は増えているはずです。
それが2年間の売上成長が+5%にとどまっているところを見ると、ビザは復調したとは言え完全復活をしたわけではなさそうです。
国際決済の不調はまだ続く
未だにパンデミックの傷が癒えていない原因を探ってみると、すぐに(海外旅行や出張を含む)国際決済金額の不調が目につきます。
世界の新型コロナウイルスの感染者数はまだまだ伸びているので、国際決済金額が回復するのはまだ時間がかかりそうです。
しかも、2021年5月にはパンデミック前の水準にまで回復したのにその後に失速したところを見ると、この問題はまだ根が深そうです。
さいごに
この記事では、ビザの21年4-6月期の決算を振り返っていきました。
今期は売上も利益も5四半期ぶりにプラス成長に戻りましたが、国際決済が伸び悩むなど、まだ完全復活しているわけではなさそうです。
しかし、株価のほうはビザの復活を信じてやまないかのうように、パンデミック時の下落を乗り越えて高値がついています。
私の考えではビザの株は「今は買われすぎているかもしれない」と心配してほとんど保有していません。ただし、株価さえどこかで下げれば、時期に業績も完全復活する優良株だと思っているので、買いに行きたいと思っています。