ネットフリックスの2021年4-6月期の決算が発表されました。
前年のコロナで需要の先取りで苦戦が予想されている中でも善戦しましたが、一株利益は予想を下回る残念な結果になってしまいました。
ただし、決算発表直後こそ株価が下落する場面がありましたが、直ぐに株価を戻したところを見ても、投資家も一定の評価をしているように見えます。
私は、この企業は安定成長企業になると思っています。一昔前までの勢いは薄れて既に売上成長率はだいぶ落ち着いていますが、これからは利益率を改善させて儲かる会社に変わっていくのだと思います。
この記事のポイント
- ネットフリックス売上は予想を上回るも、一株利益は予想に届かなかった。
- 2020年はコロナでの在宅時間の増加で需要の先取りが起こっているために、2021年の会員数の伸びは低成長になっている。
- それでも動画配信業界ではネットフリックスのシェアは高く、利益率も毎年改善できている。この地位は簡単に崩れるものではないので、中長期的にも投資できる銘柄
一株利益は予想に届かず
ネットフリックスの2021年4-6月期の決算が発表されましたが、この企業は予想された通り、少し苦戦しているようです。
売上と有料会員数は予想を上回る伸びでしたが、一株利益は残念ながら予想に届きませんでした。
- 売上:73.4億ドル(予想73.2億ドル、前年比+19%)
- 一株利益:2.97ドル(予想3.16ドル、前年比+87%)
- 有料会員増加数:154万人(予想119万人、前年比+8%)
ネットフリックスの売上成長率は前年比+19%で通常の企業なら大きな伸びですが、少し前のこの会社を知っている投資家なら、少し物足りなさを覚えると思います。
近年は営業利益を改善しているので、売上成長率よりも高い利益成長を実現しているのですが、それでも今期は予想されたほど利益を伸ばすことはできませんでした。
2020年の需要の先取りが重くのしかかる
ほとんどの投資家が気づいているので、改めて言う必要もありませんが、2021年のネットフリックスの問題点は会員数の伸びの鈍化です。
2020年のパンデミックで在宅時間が伸びた頃にネットフリックスが急成長した反動で、2021年の会員数の伸びが通常よりもかなり悪くなっています。
次のグラフは有料会員数の伸びを示したものですが、2021年になってから明らかに会員数の伸びが鈍化しています。
次のグラフはネットフリックスの決算資料からとってきたものですが、2020年に会員数は大きな伸びを見せたために、2021年は近年で最も会員数の伸びは低くなると予想されています。
今期はこの低い予想よりは会員数を伸ばすことはできましたが、しばらく苦戦は続きそうです。
安定成長をとげるための下地はできている
2021年に売上が苦戦するのはネットフリックスだけでなく、2020年に新型コロナで恩恵を受けた多くの企業に共通していることです。
そうした企業は売上が伸びない中でも、利益成長をできるだけ減らさないために1ユーザあたりの単価を上げたり、コストを抑えたりする必要がありますが、ネットフリックスはそうしたことをしやすい環境にはあると思います。
以下は、6月時点でのアメリカのTV視聴時間シェアですが、相変わらずネットフリックスは動画ストリーミングサービスでは首位をキープして根強い人気があります。
しかも、シェアを維持しつつ、近年は営業利益率を改善し続けることもできています。
2021年のネットフリックスは苦戦が続くと思われますが、長年安定成長できる強さ(シェアと利益率)を維持できているので長い目で投資できる企業だと思っています。
今のネットフリックス株はたしかにやや割高ですが、過去数年ほどではありません。どこかで価格が下落するなら長期保有目的で買いに行ける銘柄だと思います。