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4月にインフレが進んでも、今のところ過度な心配はいらないようです。

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アメリカでは5月12日の消費者物価指数の発表に続き、その翌日に生産者物価指数も発表がありました。

どちらも4月のアメリカでは予想以上にインフレが進んでいました。過去10年間では最高のインフレ率になっています。

しかし、インフレに誰よりも敏感なはずの債権市場の反応はとっても冷静でした。消費者物価指数が予想を大きく上回った日は国債の価格こそ大きく下落しましたが、「今後の利上げ予想」も「長期の予想インフレ率」もピクリとも動きませんでした。

インフレが進んでも債権投資たちは中長期の見通しを全く変えていないようです。やはり市場は、今のインフレ率の上昇は一時的と思っているようです。

インフレについては警戒はしていますが、過度な心配はまだいらないようです。

この記事のポイント

  • 4月のアメリカでは、消費者物価も生産者物価も予想を上回って上昇し、予想以上にインフレが進んでいることが明らかになった。
  • ただし、市場の投資家の反応は冷静だった。政策金利の引き上げ予想も、予想インフレ率もピクリとも変化していない。
  • やはり、多くの投資家たちは今のインフレ率上昇は一時的なものと見ているようす。株式投資家も今のところインフレに過度な心配はいらない模様

4月にさらに進んだアメリカのインフレ率


既に以下の記事で、4月のアメリカで消費者物価が予想以上に上昇した件について書きました。

その翌日、今度は生産者物価の発表がありましたが、こちらも予想を超えて上昇していたようです。

4月の生産者物価

  • 前年比:6.2%(予想5.8%)
  • 前月比:0.6%(予想0.3%)

このブログでも度々伝えてきましたが、2021年に入ってからインフレが進んでいるようにみえます。消費者物価も、生産者物価も4月は過去10年間で最高を記録しています。

物価上昇は一時的とみる債権投資家


ここからは、4月に予想以上に上昇したインフレを市場の投資家たちはどのように見えているかを考えていきます。

こういう場合、私はよく債券市場の動きを見るようにしています。

毎日の上がった下がったと一喜一憂する投資家が多い株式市場には気分屋な短期目線な投資家が多く、債券市場ではじっくりと慎重な長期目線の投資家が多い印象なので、中〜長期投資をする私にとっては債権投資家の意見のほうが参考になることが多いからです。

まず、債権投資家の長期の予想インフレ率(10年国債ブレークイーブンインフレ率)を調べてみたのですが、こちらは予想以上の物価のニュースの前後でほとんど変わりませんでした。

3月や4月にアメリカでは物価が上がったのに、投資家たちは将来的なインフレ率の見通しを何も変えなかったことになります。

また、「物価が予想以上に上がったなら、インフレ率を抑えるためにアメリカは金利を早めに引き上げて、株価に悪影響がでないか」という不安が株式投資家にはあると思いますが、金利の引き上げ予想も4月のインフレ率の発表の前後で全く変わりませんでした。

参考:上の図は金利先物市場の動きから、市場の投資家の金利引き上げ予想を調べたものです。調べ方はこちらの記事で解説しています。
>>【CME FedWatchツール】米国金利動向の市場予測の調べ方

まとめ


4月にはアメリカで物価の上昇が進んだことが明らかになりましたが、債権投資家は「将来のインフレ率」や「年内の利上げ予想」など見通しを全く変えていないことがわかりました。

直近のインフレ率が上昇しても今後の見通しを変えないと言うことは、多くの投資家は「今のインフレ率の上昇は一時的」か「インフレ率が高止まりするかどうかの判断はまだ様子見」と考えているようです。

なお、市場の予想は正しいことが多いです。少なくとも、私が調べて分かることよりも、はるかに多くのことを早く察知している場合が多いので、今のところ私も今回のインフレ率上昇は一時的な可能性が高いだろうと思っています。

であれば、米国株に投資する際にも、今のところはまだインフレ率を過度に心配しないで良いのかもしれません。

もちろん、インフレ率が過度に進んだり、市場の予想が今後変わってきたら自分の考えも見直そうと思います。


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