マスターカードの2021年1-3月期の決算が発表されたので、この記事で振り返っていきます。
また、前回の決算記事で「これからコロナからの景気回復で消費が活発化するなら予想以上に業績が伸びるので、1年程度の投資ならマスターカードの株を買っても良いはず」と書きましたが、この判断があっていたかどうかも振り返っていきたいと思います。
この記事のポイント
- 収益も一株利益も予想を上回る業績だった。収益は1年ぶりに前年同期比でプラス成長に転じた。
- アメリカを中心にコロナからの景気回復が順調に進り、直近3ヶ月で株価も上昇した。
- 前回の決算で2021年の消費拡大を見込んでマスターカードを買っても良いと言ったが、直近3ヶ月はこの判断で良かった。だたし、アメリカでは今後景気拡大ペースが鈍化する恐れがあるので、数ヶ月で売るタイミングは来るかもしれない。
1年ぶりに収益はプラス成長に
2021年1-3月期(第1四半期)のマスターカードの業績は、事前のアナリスト予想を上回りました。
- 収益:40.5億ドルに対して、42億ドル(予想超え、前年比+4%)
- 一株利益:予想1.56ドル対して、1.74ドル(予想超え、前年比-5%)
単位B:10億ドル | 21Q4 | 前年比 |
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収益 | $4.2B | +4% |
営業利益 | $2.2B | -1% |
一株利益 | $1.74 | -5% |
決算では予想を上回る度に、今後のアナリストの業績見通しが引き上げられやすくなり、株価も上昇しやすくなります。
マスターカードは毎回のように決算で予想超えの結果を残してくれるので、投資家にとって安心感があります。
また、今回の決算では収益が1年ぶりにプラス成長に転じたのも、良い兆候です。
今期プラス成長に転じた背景
マスターカードの売上がプラス成長に転じたのは、(1)ワクチンが進んでいるアメリカで消費の回復傾向が見られたこと、(2)前年1-3月の景気が低迷していたので、前年同月比の成長率が高くなりやすかったことがあります。
特に前年の低迷の影響で大きな成長率になっているのは、グラフを見るとすぐにわかります。
マスターカードの決済システムの利用状況を見てみると、前年が低迷していた3月と4月で著しい成長率になっています。
しかし、2020年3月から本格的に始まった新型コロナウイルスによる経済的ダメージの影響を取り除くために、2019年の同月比で成長率を見てみると、成長率は緩やかになります。
上の2つのグラフを見ると、21年1-3月期の決算は前年の低迷で成長率が高く見えていることがわかります。
前回の決算でマスターカードを買った場合の振り返り
前回2月5日に書いたマスターカードの決算記事では、「今後のコロナの景気拡大で消費拡大が起こると見越すなら、マスターカードを1年程度投資するのはアリ(ただし、やや割高に見えるので私は今は買わない)」、という主旨の文を書きました。
結局その後もマスターカードの株を買いませんでしたが、もしも決算発表後にマスターカードを買っていた場合に、どうなっていたかを最後に振り返りたいと思います。
以下が最近のマスターカードの株価の値動きですが、期待通り2月5日からおおむね上昇してくれたようです。
2月5日から5月7日まで株価は10.8%上昇していて、これはS&P500の8.9%をやや上回る成績を残しています。
マスターカードを保有していたからと言って大きく儲けられたわけでは有りませんが、悪くない投資だったようです。
また、恐らくマスターカードは割高でもまだ伸びる余地があると思います。
マスターカード株の上昇余力について
- マスターカードの主要な市場の1つのヨーロッパでは、まだ本格的な消費回復が起こっていない。
- 米国では預金の残高がまだ例年以上に高く積み上がっていて、消費に回せるお金が十分にある。
- 世界の旅行での消費はまだコロナ前の水準には程遠い。
2点目のアメリカの預金残高を調べてみると、3月末時点ではまだ以下のグラフのように口座には消費に回せるお金があるようなので、アメリカの消費はまだしばらく好調が続きそうです。
ただし、前日の記事でも書いたようにアメリカでは消費拡大の勢いはピークを過ぎた恐れもあるので、投資したとしてもあと数ヶ月程度にとどめたほうが良いと思っています。
ただし、私は数ヶ月単位の投資で売買をする銘柄をあまり増やしたくないので、すぐには買いに行きません。何かしらの原因で下落した時に、長期目線で買いに行けるようにチャンスを待ちたいと思います。