アメリカの3月の消費者物指数が発表されました。
予想を大きく上回る物価の上昇があるとマズイだろうと思っていたのですが、この月はほぼ予想通りの動きで市場に動揺は見られませんでした。
消費者物価指数に反応した国債の売りもなく、株価も影響を受けませんでした。
ただし、今回の物価の数字は予想通りとはいえ、それなりに大きな物価の伸びを示しているので、その大きさを振り返ってみたいと思います。
この記事のポイント
- 3月のアメリカの消費者物価は前年比+2.6%で上昇した。物価の目標値の2%を上回った。
- 注目は前月比+0.6%の伸びで、この伸びは2012年以来9年ぶり。アメリカでワクチン接種が進む今後数ヶ月は、高い物価の伸びが続くと思われる。
- 物価の伸びにはまだ今後数ヶ月警戒が必要。
警戒していた米消費者物価指数
消費者物価が大きく上昇してしまうことは、私は良くない出来事だと思って、いつも以上に警戒しています。
2021年4月現在は金融緩和が行わえれていて株高が続いていますが、消費者物価が大きく上昇してしまうと金融緩和が予想以上に早く終わってしまう恐れがあるからです。
前年からアメリカは大規模な景気刺激策を打ち出していること、ワクチン接種が進んで本格的な消費回復が近いことから、これから春から夏にかけてアメリカで物価が予想以上に大きく上昇してしまう可能性もあります。
数日前に発表された製品価格に注目した物価(生産者物価指数)は予想大きく超えて上昇していたので、より注目度が高い消費者物価はどうなるかと心配していました。
しかし、結果はほぼ予想通りで大きな上振れは見られませんでした。
ほぼ予想どおりだったアメリカ消費者物価指数(3月)
- 前年比+2.6%(予想+2.5%)
- 前月比+0.6%(予想+0.5%)
株式市場も大きな動揺は見られませんでした。
予想通りでも大きな変化が見られた物価
今回3月分の消費者物価を改めてみてみると、目につく点が2つあります。
1つ目は物価の適温とされている前年比+2%を既に今月超えたこと、2つ目は前月比+0.6%はかなり大きい数字だということです。
物価の適温2%を超えた
「前年がコロナの不況で低迷していたから、前年比の数字が高く出ているのだろう」という人もいますが、実は2020年3月はどれほど消費者物価は低迷していませんでした。本格的に消費者物価が低迷したのは2020年4月と5月でした。
つまり、翌月以降に発表されるデータのほうが前年の低迷の影響を受けて、大きな物価上昇を記録すると思われます。
前月比0.6%はかなりの大きさ
前月比で+0.6%という数字はかなり大きな数字です。それもそのはずで、この伸びは2012年以来9年ぶりだったようです。
この数字がかなり大きいことを確認するには、年率に直してみると良いかも知れません。前月比+0.6%の物価上昇は年率7.4%にもなります。
もちろん、このような強い物価上昇が12ヶ月続けて起こることはないと思うので、インフレ率が7%超えになると心配する必要はないと思ってます。
しかし、毎月+0.6%のハイペースは続かなくても、2021年内に+0.2%や+0.3%のペースが続くことならありえそうです。その場合には、消費者物価は前年比3%から4%超えをすることになります。
物価が上昇することによるリスク
2021年のどこかで消費者物価は前年比3%から4%を超え、GDP成長率が6%にもなると言われているなら、アメリカの長期金利(10年国債の利回り)だけが1.7%で低くとどまっているのは少し不自然です。
2021年のような好景気が一時的だとしても、もう少し金利は上がっても良いのではないかと思っています。
そうなると、2021年2月に見られたように金利上昇による割高なハイテク株の下落が、まだどこかである気がしています。
アメリカでワクチン接種が進む春から夏にかけては、経済の再開とともに高い物価の伸びが続くと思われるので、まだこれから数ヶ月は物価に注意を払いたいと思います。