しばらく前にナイキの決算発表があったので、この記事でとりあげたいと思います。
2021年第3四半期(12月-2月期)は一株利益こそ予想を上回りましたが、売上は予想を下回るなど、今回は少しパッとしない業績になってしまいました。
この決算で面白いなと思ったのは地域別の売上です。
北米・ヨーロッパ・中国以外のアジアでの売上は前年を下回って、コロナの影響をまだ感じる内容でした。しかし、中国の売上だけは違いました。
前年の2020年1-2月は中国で新型コロナウイルスが流行した時期で、このときの売上がひどく悪かったので、今回は前年比で50%を超える成長率を見せています。
前年の数字が悪いせいで、前年比の成長率がとても良く見えることを「ベース効果」と言いますが、ベース効果を強く感じた決算になりました。
この記事のポイント
- 一株利益は予想を超える成長を見せたが、売上は予想を下回ってしまった。
- 今期は中国の売上が全体を牽引した。前年同期コロナに苦しんだ中国は、前年比+51%の成長を見せた。
- 中国以外の地域の売上は低迷した。特にヨーロッパは2020年冬のコロナ流行の影響を受けて、前期から大きく売上成長率を落とした
予想を下回った売上
ナイキの決算は一株利益は良かったのですが、売上が予想を下回ってしまいました。
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売上:予想109.7億ドルに対して、結果103.6億ドル(前年比+2.6%)で予想を下回る。
一株利益:予想0.76ドルに対して、結果0.90ドル(前年比)で予想を上回る。
売上成長率を見てみると前期は前年比で+8%で伸びていたのですが、今期は+3%と成長率が鈍化してしまっている点も、少し残念です。
売上が予想よりも伸びなかった点は、少なからず2020年冬のコロナの流行が影響していると思われます。
この後の章で地域別の売上データを見ていきますが、中国以外のすべての地域で売上は前年比でマイナス成長と低迷していました。
また、前期までプラス成長でナイキの成長を中国とともに牽引していたヨーロッパの売上も今期はコロナの流行で低迷しています。
12-2月期は中国の売上が大きく牽引した
今期のナイキの決算で一番おもしろいなと思ったのは、地域別の売上です。
以下にナイキの地域別n売上成長率をまとめましたが、中国は前年比+51%で急成長しています。
地域別売上 | 売上(B:10億ドル) | 前年比 |
---|---|---|
北米 | $3.6B | -10% |
欧州・中東・アフリカ | $2.6B | -4% |
中国 | $2.3B | +51% |
アジア・ラテンアメリカ | $1.3B | -7% |
今期の中国の急成長には、新型コロナウイルスが大きく影響しています。
1年前の2020年1-2月を思い返してみると、中国ではコロナの影響で売上が大きく落ち込んでいました。前年の業績がとても悪かったので、今期の中国の成長率がかなりよく見える「ベース効果」が見られたようです。
細かく見た決算の中で、ここまでコロナのベース効果をはっきり見たものは初めてでした。
中国以外のヨーロッパや北米などの多くの国は2020年3-5月で景気の底が来ているので、次の四半期の決算は北米もヨーロッパの売上も成長率が高くなる面白いデータが見られる気がしています。
来季の決算も注目してみてみたいと思います。
まとめ
この記事では、ナイキの12-2月期の売上を見ていきました。売上が予想を下回って、成長率も前期よりも鈍化してしまっている点で、少し残念な決算になってしまいました。
しかし、今期中国の売上でベース効果が見られてたように、来期以降は他の地域で大きなベース効果が出ると思うと、次に期待が膨らむ決算になりました。
ちなみに「ナイキ株は買いか」という視点に立つと、私の考えではナイキは良い企業ですが、まだ割高で買わなくて良いと思っています。
ナイキは前回の決算でも指摘しましたが、かなり割高な水準にあります。3ヶ月前ほどではありませんが、2021年4月時点でもナイキ株はまだ割高な印象です。
以下の記事でも触れましたが、今は非ハイテク銘柄でも割高に見える銘柄が多くあり、ナイキも残念ながらそうした株の1つになっている気がしています。
オールドエコノミーにも割高に見える銘柄があるので、注意が必要です。
2月中旬から金利の上昇を受けてハイテク銘柄が売られて、昔からあるような企業(オールドエコノミー)が買われる動きがあります。金利が上昇している局面では割高な株が売られる傾向があるので、ハイテク株が売られるのはわかります。しかし、よく見るとオールドエコノミー銘柄にも割高なものがかなりある点には注意が必要だと思います。